EGFR-TKIを投与する際の間質性肺疾患に関する留意点を通知 厚生労働省
厚生労働省は、7月22日、都道府県・保健所を設置する市・特別区の衛生主管部(局)及び日本医師会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本肺癌学会、日本呼吸器学会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会に対して、「上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤を投与する際の間質性肺疾患に関する留意点について(依頼)」を通知するとともに、「医薬品等安全性関連情報」に掲載しました。
上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)については、いずれも、添付文書の警告等の項において死亡に至る可能性がある間質性肺疾患に関連する注意喚起がなされています。
今般、ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤(販売名:オプジーボ点滴静注20㎎、同点滴静注100㎎)の前治療歴がある患者に対して、オシメルチニブメシル酸塩製剤(販売名:タグリッソ錠40㎎、同錠80㎎)等のEGFR-TKIを投与した際に、重篤な間質性肺疾患を発現した症例が、平成28年7月1日時点で、8例報告されており、その転帰が死亡となった症例も報告されています。
これらの症例の中には、原疾患が進行し全身状態の悪かった症例、EGFR-TKI使用前に間質性肺疾患の既往や当該疾患を疑わせる所見がみられた症例、ニボルマブ(遺伝子組換え)のメカニズム等からニボルマブ(遺伝子組換え)の投与終了後に当該疾患が発現した可能性も考えられる症例もありました。
ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の添付文書でも、警告等の項で間質性肺疾患に関連する注意喚起がなされていますが、現時点では、ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤投与後にEGFR-TKIを連続的に使用することにより間質性肺疾患のリスクが増大するかは明らかではありません。
として、会員に以下の点について周知するよう要請しています。
1. EGFR-TKIはいずれも、間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者には慎重投与とされていることから、EGFR-TKI投与にあたっては、投与前に間質性肺疾患又はその既往歴を確認するとともに、投与中は十分な注意と経過観察を行っていただき、適正使用いただきますようお願いいたします。
2. EGFR-TKI投与後に間質性肺疾患が現れた場合には、当該患者のニボルマブ(遺伝子組換え)等の前治療歴も含めた副作用情報の収集にご協力いただきますようお願いいたします。
(注)EGFR-TKI:ゲフィチニブ、エルロチニブ塩酸塩、アファチニブマレイン酸塩、オシメルチニブメシル酸塩
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/iyaku/index.html