かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局の役割で通知 日本薬剤師会
日本薬剤師会は、9月16日、「地域の住民・患者から信頼される「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」の役割」について、都道府県薬剤師会会長宛てに通知しました。
日本薬剤師会では、処方せんの受入体制の整備を図るとともに、患者が使用する薬剤の一元管理を的確に実施するため、かかりつけ薬局・薬剤師の活用を推奨してきました。しかし、その一方で、日薬が目指してきた医薬分業の姿とはほど遠い現状にある、医薬分業の意義・目的が国民に十分伝わっていない等の課題が指摘されています。
また、平成27年6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針)では、「かかりつけ薬局の推進のため、薬局全体の改革について検討するとともに、薬剤師による効果的な投薬・残薬管理や医師との連携による地域包括ケアへの参画を目指す」など、調剤報酬における対応を含めた「患者本位の医薬分業の実現に向けた見直しを行う」ことが明記されました。
こうした状況に鑑み、日本薬剤師会では、地域において住民・患者から求められる「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」の役割について、改めて明確に示すことにしました。
「医薬分業制度が薬物療法における安全性・有効性を確保するためのシステムであることを踏まえると、特に地域包括ケアシステムの中で、患者の安全確保と医療の質の向上を図るためには、患者から選ばれた「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」が、かかりつけ医を中心とする多職種と連携しながら、その責務を果たしていくことが必要です」としています。
<「かかりつけ薬剤師」と「かかりつけ薬局」の関係>
(1) かかりつけ薬剤師:「かかりつけ薬剤師」とは、患者が使用する医薬品について、一元的かつ継続的な薬学管理指導を担い、医薬品、薬物治療、健康等に関する多様な相談に対応できる資質を有するとともに、地域に密着し、地域の住民から信頼される薬剤師を指す。
(2) かかりつけ薬局:「かかりつけ薬局」とは、地域に必要な医薬品等の供給体制を確保し、その施設に従事する「かかりつけ薬剤師」が、患者の使用する医薬品の一元的かつ継続的な薬学管理指導を行っている薬局を指す。
<「かかりつけ薬剤師」に求められる資質>
①
地域の住民から、医薬品等に関する相談を親身になって受け、そのニーズを的確に把握することができる。
②
常に自己研鑽に励み、最新の医療および医薬品等の情報に精通している。
③
地域医療連携に不可欠な地域の社会資源等に関する情報を、十分把握している。
④
薬事・保健衛生等に関する地域の社会活動、行政活動等に積極的に参加し、地域包括ケアシステムの一員として活動できる。
⑤
医薬品等の使用について的確な情報提供や指導を行うことができ、また、適切にかかりつけ医等へ受診勧奨等を行うことができる。
⑥
医薬品の一元的かつ継続的な薬学管理指導を行い、処方医に対して薬学的知見に基づき疑義照会を行うなど、かかりつけ医と連携して、患者に安全で安心な薬物治療を提供することができる。