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医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会報告書を公表 厚生労働省

厚生労働省は、71日、「医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会報告書」を公表しました。

医療情報データベース基盤整備事業は、電子化された医療情報を基に、薬剤疫学的手法によりデータを抽出・分析し、医薬品等のリスクやベネフィットの評価を行うなど、安全対策に活用するため、厚生労働省と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)において、10の拠点となる医療機関等にデータベースを構築するとともにPMDAに情報分析システムを設置する事業であり、1,000万人規模の情報収集を目指して、平成23年度より5年計画で整備を進めています。

平成25614日に閣議決定された日本再興戦略の戦略市場創造プランとして、本事業との関連で、「医薬品の副作用データベースシステムについて、データ収集の拠点となる病院の拡充や地域連携の推進を図ることにより、利活用できる十分な情報を確保し、医薬品の有効性・安全性評価や健康寿命の延伸につなげる」ことが盛り込まれています。また、世界最先端IT国家創造宣言においても、「医療情報データベースを活用した医薬品等の安全対策に関する取組を推進できるようにする」などとして、医療情報等の電子化と各種データの活用推進が求められています。

これらの状況を踏まえ、本事業における進捗や状況の変化に伴い対応が必要となる各種課題を整備し、本事業のあり方について検討し政策に反映することを目的として検討会が設置されたものです。

検討会における議論を踏まえた提言のとりまとめは以下の通りです。

(1)従来の副作用等報告制度では困難であった副作用の発生頻度や原疾患等の患者背景の分析等の定量的な評価、また低頻度であるが重大な影響を与えるようなリスクの迅速な検出等を可能とする新たな仕組みとして、医療情報データベースを活用した薬剤疫学的手法による医薬品等の安全対策の向上を図るため、産学官連携の下、平成28年度以降の本格運用に向けて、10拠点における基盤整備を進めるべきである。

(2)試行期間において10拠点で集積見込みの300万人規模の患者データから、試行利活用の具体的な成果を出すことが重要である。その実績を踏まえ本事業を評価した上で、より有用性の高い1,000万人規模のデータベースの整備を目指し、データベースの量及び質の向上を図り、地域連携等も視野に入れ、更なる充実に努めるべきである。

(3)本格運用に向けて試行期間における10拠点の医療情報データベースの品質管理・整備・維持及び安全対策への実践的な利活用を可能とする体制整備に必要な予算・人員の確保が必要である。

(4)試行期間における利活用の実績等を踏まえて、機微性の高い医療情報の取扱いに十分留意し、研究者・製薬企業等を含めた本格運用後における利活用のルール等を整備する必要がある。

(5)本格運用開始後の運営に必要な費用・人員等の精査とともに、本事業の目的に照らして、国費、安全対策拠出金、並びに利用者負担も含めた費用負担の枠組み構築に向けて、引き続き検討が必要である。

(6)医療情報データベースの利活用の推進に向けて、短期的には、医療情報データベースの整備及びデータを活用して薬剤疫学研究等を行う人材の確保・育成が必要である。さらに中長期的には、社会的な合意や法整備等の必要な環境が整備され、各種のデータベース間の情報連携が技術的にも可能になった際に情報の長期追跡性・正確性等の向上を図った形での横断的な利活用の推進及び体制整備に向けて、引き続き検討が必要である。

(7)今後の拠点病院の拡充に当たっては、既存の基盤を活用したコンパクトなシステム導入やデータの標準化等を図ることにより、医療情報の基盤整備・普及を効率化することが重要である。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000049773.html
2014/07/02(水) 11:47