和歌山県薬剤師会が災害対応医薬品供給車両 モバイルファーマシー導入
和歌山県薬剤師会は、2月に災害対応医薬品供給車両「モバイルファーマシー」を導入しました。
災害対応医薬品供給車両は宮城県が最初に導入し、和歌山県は大分県に続いて全国で3番目の導入ですが、和歌山県薬剤師会は東日本大震災の被災地での薬局や薬剤師が直面した様々な問題に対応するため、災害対応医薬品供給車両「Mobile Pharmacy」の必要性を痛感、2012年に浜松で開催された第45回日本薬剤師会学術大会において宮城県薬剤師会が展示した車両を見学し導入を決意、地域医療再生交付金の半額助成を受け、総額約1,200万円を投じて導入しました。
この車両は、キャンピングカーを改造したもので、宮城県薬剤師会の薬剤師の意向によって、薬剤師が求める内容に改造され、分包機や調剤設備をはじめ、あらゆる設備がコンパクトな仕様となっています。
つまり、
①
調剤機能基地として
大災害発生時、被災地域への医薬品の供給および電気や水がないと大変困難となる散剤(粉薬)や水剤等の調剤を行う等により被災地や医療救護所等の薬剤師業務への援助を行う。
②
情報発信・伝達基地として
被災地の情報を収集し対策本部に伝えたり、対策本部の指示を地域の薬剤師に伝える。
という機能を備えた車両が必要となりました。
機能・主な装備は
●300~500品目の医薬品を積載可能。速やかに被災地に赴き、避難所等が整備されるまでの間、医薬品供給を担当し、避難所開設後は巡回診療チームが発行する災害時処方せんを調剤、医薬品はセンター薬局 (会営薬局)の備蓄薬を利用
●携帯電話がダウンした状況下でも使用可能な短距離通信用デジタル無線機を搭載
●大型バッテリー3台、外部AC電源、自家発電機、ソーラーパネルを採用、状況に対応した電源を確保
●水剤の調剤用として生活用水とは別の専用のシンクと清水タンク(約40L)を設置
●予備燃料携行タンク(発電機用)を搭載する専用保管スペースを確保
●被災地への情報伝達ツールとして、地デジ、BS/CS110°アンテナ及び50型液晶TV搭載
●自己完結型支援のため、生活設備一式(洗面台、トイレ、温水シャワー、ベッドなど)を完備
搭載の調剤設備は、錠剤棚、水剤調剤台、散剤分包機、電子天秤、外用調剤台、保冷庫、その他調剤備品などです。
運用形態としては、大災害発生時、和歌山県薬剤師会災害対策本部の指揮のもと、薬局機能や電気・水道などのインフラが壊滅状態になった地域に薬剤師と共にいち早く駆けつけ、地域の医療機関や行政機関とも協力しつつ被災地住民の薬物療法や環境衛生支援及び被災地や医療救護所での薬剤師業務支援を行います。
また、被災地の情報を本部に伝えることにより、適切な対策がとれるように、あるいは本部からの情報を被災地の薬剤師などに迅速に伝えます。