matsuda's blog

26年度診療報酬改定へ意見まとめる 中医協総会

中央社会保険医療協議会の第264回総会は、1211日に開催され、平成26年度診療報酬改定への意見をとりまとめました。公益委員がまとめた案で、診療側・支払側の委員も了承しました。

厚生労働大臣への意見として、平成26年度診療報酬改定について次の通りまとめています。

 

<平成26年度診療報酬改定について>

我が国の医療については、今後さらに高齢化が進展する中で、国民の健康を守っていくため、国民皆保険を堅持しつつ、医療ニーズの変化に対応して、医療提供体制の再構築、地域包括ケアシステムの構築等に取り組むことが重要な課題である。

社会保障審議会医療保険部会及び医療部会において取りまとめられた「平成26年度診療報酬改定の基本方針」(基本方針)でも、重点的に取り組む課題として、医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等を図ることが示された。

本協議会は、この基本方針に基づき、全ての国民が質の高い医療を受け続けるために必要な取組についての協議を真摯に進めていく。こうした基本認識については、支払側委員と診療側委員の意見の一致をみた。

しかし、このような基本認識の下で、どのように平成26年度診療報酬改定に臨むべきかについては、次のような意見の相違が見られた。

  まず、支払側は、賃金が伸び悩む中で物価が上昇傾向にあるなど、国民生活は依然として厳しい状況にあり、医療保険財政が危機的な状況に陥っている一方で、医療機関の経営状況は、病院、診療所、薬局とも安定していることから、これまでの改定でしばしば行われてきた薬価・特定保険医療材料改定分(引下げ分)を診療報酬本体の引上げに充当するやり方を取り止め、診療報酬全体ではマイナス改定とすべき、との意見であった。また、消費税率引上げに伴う診療報酬上の財源規模の算出に当たっては、消費税負担の中身を精査するとともに、薬価等も含めて消費税率引上げが消費者物価に与える影響を反映すべきである、との意見であった。

一方、診療側は、直近2回の改定は全体(ネット)プラス改定であったが、いまだにそれまでの厳しい医療費抑制の下で直面した医療崩壊の危機から脱することができておらず、このままでは医療再興、ましてや医療提供体制の機能強化は不可能であるため、消費税率引上げ対応分を除いた全体(ネット)プラス改定は必須であり、従来どおり薬価引下げ財源を診療報酬全体の改定財源として活用すべき、との意見であった。また、消費税率8%引上げに当たっては、医療機関等に負担が生じないように引上げ対応分に対する完全な補填をすることはもちろん、通常の診療報酬改定とは明確に区分して対応すべき、との意見であった。

本協議会は、社会保険医療協議会法でその組織構成や、審議・答申事項等を法定されており、医療保険制度を構成する当事者である支払側委員と診療側委員、そして公益委員が、医療の実態や医療保険財政等の状況を十分考慮しつつ、診療報酬改定の責任を果たしてきた。

診療報酬改定は、「診療報酬改定の基本方針」に沿って、診療報酬本体、薬価及び特定保険医療材料価格の改定を一体的に実施することにより、国民・患者が望む安心・安全で質の高い医療を受けられるよう、医療費の適切な配分を行うものである。そのために本協議会においては、これまでも医療制度全体を見渡す幅広い観点から、膨大な時間を費やしてデータに基づいた真摯な議論を積み重ね、診療報酬改定に取り組んできており、これからもそのように取り組み続けていく。今後とも本協議会こそが、責任をもって診療報酬改定の具体的機検討を行う場である。

厚生労働大臣におかれては、これまでの本協議会の議論を踏まえ、平成26年度予算編成に当たって、診療報酬改定に係る改定率の設定に関し適切な対応を求めるものである。

また、我が国の医療が抱える様々な問題を解決するためには、診療報酬のみならず、幅広い医療施策が講じられることが必要であり、この点についても十分な配慮が行われるよう望むものである。

2013/12/12(木) 12:09