医療提供体制のあり方で日本医師会と四病院団体協議会が合同提言
日本医師会と四病院団体協議会は、8月8日に合同記者会見を行い、「医療提供体制のあり方」について合同提言を行いました。
提言は、1.基本方針、2.かかりつけ医、3.医療・介護の再編で構成され、「基本方針」では、「日本医師会・四病院団体協議会は、医療提供体制のあり方については、全国画一的な方向性を目指すのではなく、地域の実情にあわせて構築していくべきであると考える。地域住民が、地域の実情に応じて安心して医療を受けられるようにするためである。」として基本方針を示しています。
医療提供体制構築に向けての基本方針
1.目前の超高齢社会にあっても、世界最高水準の健康水準を守り、国民の生活の安心を支えるため、国民とビジョンを共有しながら、新たな時代にふさわしい体制構築に向けて、国民とともに取り組む。
2.このため、発症からリハビリテーション、在宅復帰支援までどのような病期にあっても、患者の病態にあわせて、最善の医療を切れ目なく提供する体制を構築する。
3.患者の命を守る質の高い医療を目指すとともに、生活の質を重視し、患者を支える医療を実践する。このため、地域の医療・介護・福祉との連携の下、地域包括ケアシステムの実現に向けて、在宅医療を含めた地域特性にあわせた柔軟な医療提供体制を構築する。
上記基本方針を掲げるに当たっての、考え方を表明しておきたい。
我が国は、WHOにおいても世界最高の保健医療水準と評価されているが、医療介護に対するニーズの急激な増大の一方で医療現場は負担の増大など様々な問題が顕在化しており、今後の超高齢社会において引き続きこの水準を維持し、国民の期待に応え続けていくことは決して容易なことではない。
しかし、75歳以上人口が急速に増加する2025年までに残された時間は少なく、必要な体制構築は、医療界だけではなく、まさに国民的、国家的課題と言える。重要なことは、医療提供者、国民、行政の三者が将来の姿のビジョンを共有しながら一体となって取り組むことである。
特に、従来の医療提供体制が急性疾患モデルを中心としたものだったのに対して、今後増大する慢性疾患モデルでは急性期対応後のリハビリテーションや治療、重症化予防を視野に入れた体制が不可欠となっている。この受け皿づくりと流れの道筋づくりに関係者が一致して取り組まなければならない。国民の理解も不可欠である。
これは病院だけの改革ではなく、「かかりつけ医」と病院の連携が必要になり、さらに介護、地域サービスとの連携も必要になる。現在、「地域包括ケア」の重要性が叫ばれているが、医療提供者としても積極的に参画していくものである。
このような、ビジョンと改革実行には、医療提供者の自主的取り組みに加え、制度的、財源的支援は必要不可欠である。
中長期的なビジョンと医療法をはじめとする制度的枠組みの整備、枠組みに沿った医療機関の自主的な改革努力と機能強化等に対する公的支援、必要な体制構築に取り組む全ての医療機関の経営努力を公平に支える適切な診療報酬体系の実現、及びこれらのための財源措置を強く求めたい。