社会保障制度改革国民会議報告書で見解 日本医師会
日本医師会は、8月5日、「社会保障制度改革国民会議報告書」をうけて見解を発表しました。7日の記者会見でも同様に明らかにしました。
内容は次の通りです。
8月5日に第20回社会保障制度改革国民会議が開催され、報告書がまとまりました。
そもそもこの社会保障制度改革国民会議は、昨年の三党合意による「社会保障と税の一体改革」の国会成立を受けて設置されたものですが、医療界全体をリードする唯一の団体である日本医師会の参加が認められなかったことは極めて遺憾でありました。
社会保障と税の一体改革は、言うまでもなく消費税を段階的に引き上げるという「痛み」を国民に求める代わりに、医療、介護をはじめとする社会保障制度を「維持、充実させる」ために、その方向性を打ち出すことが目的でした。
日本医師会は、政策の判断基準として「国民の安全な医療に資する政策か」、「公的医療保険による国民皆保険は堅持できる政策か」の2つに重点を置いています。
医療をはじめとする社会保障政策を実行するに当たっては、効率性のみではなく、公平性の観点も必要です。国民が所得によって受けられる医療に差がない国民皆保険体制を堅持することが必要であると考えています。
今回の報告書では、70歳から74歳の医療費窓口負担の特例を廃止することによる受診抑制や、入院時の食事の自己負担の増加といった患者負担の増加につながるものが提言されており、国民にさらなる負担を強いるものであります。また、医療提供体制の過度な機能分化や、医療法人制度の過度な見直しは、全国一律に行えば、地域医療の混乱を招きかねません。さらには、要支援者に対する介護予防給付を段階的に市町村事業へ移行する等により、重度化を予防する観点からサービスの質の低下が懸念されるなど、問題も多くあります。
一方、日本医師会が求めてきた国民皆保険の保険者の広域化(都道府県移行)や、所得に応じた負担、さらには「各2次医療圏における将来の性別、年齢階級別の人口構成や有病率等のデータを基に各地域における医療ニーズを予測し、各地域の医療提供体制がそれに合致しているかを検証した上で、地域事情に応じた先行きの医療・介護サービス提供体制のモデル像を描いていくこと」が今後進められることについて、高く評価したいと思います。