matsuda's blog

PMDAが医療機関における安全性情報の伝達・活用状況に関する調査結果を発表

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、87日、「平成24年度医療機関・薬局における医薬品安全性情報の入手・伝達・活用状況等に関する調査」の結果を発表しました。

PMDAでは、医薬品や医療機器の安全な使用を図るため、報告された副作用情報等をもとに、添付文書の「使用上の注意の改訂」等の安全対策を厚生労働省とともに検討・決定しています。これらの安全性情報は、厚生労働省、PMDA、製薬企業等から医療機関に情報提供されていますが、提供された最新の情報が、臨床現場へ適切に伝達され、活用されることが求められています。

PMDAでは、第二期中期計画において、「企業から伝達された情報の医療機関内での伝達・活用の状況を確認するための調査を段階的に実施する」こととしており、医療機関における安全性情報の伝達・活用状況に関する調査を実施しています。

本調査は、医療機関・薬局における安全性情報の入手・伝達・活用状況を把握し、安全性情報がより臨床現場で利用しやすいものとなるよう、その最適な情報のあり方や提供方法等を検討するための材料となるものです。また、適切な情報の入手・伝達・活用方法等のあるべき姿を提言し、医薬品等の安全使用の推進の役立てていただくことを目的として実施するものです。

調査方法は、調査対象施設:全国の全ての病院(8,541施設、このうち5施設廃止)及び全国の保険薬局の半数(26,915施設、177施設廃止)の医薬品安全管理者宛てに調査票を郵送し、調査対象施設からウェブ調査票への入力、または紙面調査票の返送により回答を得ました。調査項目は基本情報、安全性情報全般、個別の薬剤の情報で、施設内でのインターネットの活用等、医薬品の安全性情報の入手・伝達・活用状況、院外処方薬の安全性情報の管理、近隣の病院・診療所・院外の薬局・他の薬局との連携などです。

調査期間は平成2517日~226日で、有効回収数は病院4,556施設(有効回収率53.4%)、保険薬局17,276施設(有効回収率64.6%)でした。

「調査結果からわかる望まれる方向」として次の通り示しています。

     医薬品安全性情報収集におけるインターネットの活用

規模の大きい病院では比較的医薬品安全性情報の収集にインターネットを活用しているようであったが、規模の小さい病院や薬局ではまり活用できていないようであった。規模の大小によらず、安全性情報の収集にインターネットを活用することが望まれる。

     PMDAのホームページ、PMDAメディナビの活用

インターネットには様々な情報がある中で、PMDAのホームページやPMDAメディナビは信頼性や正確性の面で高い評価を得ている。PMDAからの情報を効果的に活用することで医薬品等の安全使用を推進できると考えられる。

PMDAメディナビの登録状況は、病院で68%、薬局では40%に留まっており、一層の活用を図るべきである。また、都道府県により登録率のばらつきも認められ、PMDAでの広報活動の展開や、各都道府県薬剤師会等による登録促進に向けた取り組みが期待される。

     持参薬の安全性情報管理の強化

院内での取扱いがない医薬品が持参された場合に、多くの病院で当該持参薬を使用することが判明した。一方で、規模が小さい病院では、病棟薬剤師による情報管理ができている割合は低かったが、様々な種類の持参薬を管理し、患者の状態に合わせて、きめ細かな服薬説明を適切に実施するためには、病棟薬剤も望まれる。

     持参薬の管理における医療事故の防止

持参薬の鑑別時には、患者から提供される医薬品情報提供文書(薬情)や薬袋は、最新のものであるかを確認し、処方変更前や家族等のものである可能性に留意するべきである。

院内採用していない薬剤が持参された場合には、同種・同効薬の重複処方、用法・用量の指示の間違え、代替薬への切り替え時の規格間違え等に注意が必要である。

持参薬を服用させる際は、入院前の実際の服薬状況を紹介状や薬情等の確認、患者への聞き取り等により把握し、持参薬の安全性情報の管理を行うべきである。(入院前の自己管理による服薬から院内での管理になることで、コンプライアンスが変化し、副作用が発現するおそれもある)

     院外採用薬の安全性情報管理の強化

アリスキレンの事例では、「院内採用していないが、院外処方できる」病院における「MR」からの情報入手は、「院内採用している」病院よりも低く、注意喚起内容を「知らない」と回答した病院の割合は高かった。

また、院外採用薬を取り扱う病院のうち、その安全性情報の管理について「十分に管理できていない」と考えている病院が66%を占め、理由として「院外採用薬は院外の薬局に任せているため」との回答が多かった。

処方する病院側で院外採用薬の安全性情報を適切に把握しておくことは最低限必須であり、院内採用薬と同等の安全性情報管理ができる体制の構築が望まれる。また、院外処方箋を応需する薬局側でより慎重に処方監査を行うことができるよう、適正使用に必要な情報が共有されることが望まれる。

     病院と薬局との連携(薬薬連携)の強化

院外処方箋の確認は、処方医や院外の薬局に任されていることが多い一方で、院外処方箋を応需する薬局では、より良い処方監査を行なうためには、患者の検査値や疾患名の入手が必要との回答が多かった。一部の施設では、カルテ情報の共有や、処方箋・おくすり手帳への検査値・疾患名等の記載がなされており、個人情報に留意の上で、こうした取組みの普及が期待される。

     企業からの安全性情報提供の継続的な実施

安全性情報の内容を理解しているかを調査した結果、「当該情報を発出した時点で採用していた」病院・薬局と比較して、「情報発出日以降に採用した」病院・薬局での認知割合が低かった。重要な安全性情報については、継続的に医療現場へ情報提供して行くことが望まれる。

 

http://www.info.pmda.go.jp/

2013/08/08(木) 15:54