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一般用医薬品のインターネット販売で見解 日本医師会

日本医師会は、65日、「一般用医薬品のインターネット販売についての見解」を発表しました。

要旨は次の通りです。

 

「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」において、日本医師会は、まず、最高裁は第一類、第二類のインターネット販売を一律に禁止することを違法としたのであり、インターネット販売自体を認めているわけではない。したがって、インターネット販売全面解禁ありきで議論を進めるべきではないと主張した。しかし、最終第11回検討会後に、遠藤座長から、インターネット販売推進派が強硬であったとの指摘があったように、必ずしも冷静かつ建設的な議論が行われなかったことは遺憾である。

また、日本医師会は、一般用医薬品の販売について、消費者の利便性を追及するあまり、国民の安全と安心が脅かされることがあってはならないと主張してきた。最優先すべきは国民の生命と健康を守ることである。そのためには国民が適切に医療を受けられることが重要である。その点、対面販売では、販売者が購入者の状態をより正確に把握することができ、薬局薬剤師の受診勧奨も大きな役割を果たしている。

インターネット販売は、納品までに、24時間以上かかることが多く、購入される医薬品は緊急的需要ではない。むしろ、家庭での常備薬的な性格を持つ。リスクの高い一般用医薬品を手軽に購入、常備し、購入者の判断で服用することは、すなわち国民に大きな自己責任を負わせようとするものであり、非常に危惧される事態になる。

検討会の取りまとめ案には、安全確保のための方策等について、必要に応じて専門家による検討の場を設置し、詳細な検討を行うことが望ましいと総括している。これを踏まえて、日本医師会は、あらためて次のことを提案する。

 

第一に、検討会の取りまとめに従い、一般用医薬品の販売に係るルールを具体化する専門家による検討会を開催する。その際には、あらためて国民の安全、安心確保の視点から検討し、新たなルールの下、自ずと販売方法が決まるという手順にする。インターネット、対面販売等のコミュニケーション手段によらず、あくまで国民の安全、安心確保のため、新たなルールに適合することが求められる。

第二に、一般用医薬品の安全性を確保する仕組みの再構築を医学、薬学等の専門家によって検討することを提案する。第一類医薬品は、その多くが医療用から一般用に移行(スイッチOTC)されたものであり、一般用医薬品としてのリスクが確立されておらず、一般用医薬品に移行した後に、死亡例が報告されているものもある。今後は、スイッチOTC化を慎重に検討するとともに、スイッチOTC化後の一定期間は、たとえば経過期間として取り扱い、問題事例が発生した場合には、いったん医療用のみに戻すことも必要であると考える。

 

政府の中には、成長戦略の象徴として一般用医薬品のインターネット販売を全面解禁したい意向もあるようである。ただし、安倍総理大臣も答弁しておられるように経済を優先して安全性を犠牲にすることはあってはならない。政府には、国民の生命、健康を脅かさないよう大局的な見地から適切な判断をされることを期待したい。

 

http://www.med.or.jp/

2013/06/07(金) 11:24