24年度ジェネリック医薬品使用促進取組事例報告書公表 厚生労働省
厚生労働省は、5月28日、「平成24年度ジェネリック医薬品使用促進の取組事例とその効果に関する調査研究報告書」を公表しました。これは、厚生労働省医政局経済課の委託事業としてみずほ情報総研株式会社が実施したものです。
調査研究は、地域の実情に応じた後発医薬品使用促進のための取組みとしてはどのような施策が有効であるのか、その有効な施策は具体的にはどのような方法がとられるべきか等について明らかにすることにより、さらなる後発医薬品の使用促進に取り組む関係者への情報提供を行うことを目的として実施したものです。
本調査研究においては、①都道府県薬務担当者を対象とし、これまでの後発医薬品使用促進に係る施策の取組み状況を把握するためのアンケート調査、②施策の取組み状況と都道府県別の後発医薬品使用割合についての定量的分析、③後発医薬品使用促進に有効と思われる具体的事例についてのヒアリング調査を実施しました。
報告書は、それぞれに項目について調査結果をまとめていますが、調査研究のまとめとして次の通り書かれています。
<調査研究のまとめ>
後発医薬品の使用促進を引き続き進めていく個別具体的な方策として有効であると考えられるのは、後発医薬品に関する差額通知であるが、差額通知は、あくまでも院外処方を受けた患者に対する案内であるため、患者がいくら後発医薬品を欲しても、保険薬局において後発医薬品を取り扱っていなかったり、医師が先発医薬品しか処方しない場合には、後発医薬品の使用割合は伸びていかない。そのため、院外処方においてより積極的に後発医薬品の調剤を進めるには、①保険薬局における後発医薬品の採用を増やす方策、②処方医の後発医薬品に対する更なる理解を促進する方策を検討する必要がある。
これらの方策を推進するためには、医薬分業が進む中で、医師と保険薬局の間の信頼関係がなければ、医師の側も安心して処方することができないので、地域における医師と薬剤師の間のより一層の信頼関係を醸成していくことが求められる。そのような関係性を構築していくには、都道府県単位ではなく、それよりもさらに狭い地域単位での関係者の集う地域協議会等の取組みを通じて促進されることが期待される。
その他、都道府県単位で取り組むべき課題として挙げられるのは、都道府県内部での後発医薬品の使用割合をしっかりと把握することからはじめる必要があると言えよう。
後発医薬品の使用促進は、単独の取組みにより効果が上がるものではなく、国における診療報酬改定、メーカーによる品質向上、安定供給に関する努力も必要であることは言うまでもない。ただし、それだけではなく、地域の実情に応じた形で、各関係者への意識啓発、認識の共有化等を行っていく取組みがそれぞれ影響しあって、後発医薬品の使用割合の向上という結果につながっていく。医療保険財政の厳しい中、各関係者が、他地域の事例等も参考にしながら、後発医薬品の使用促進に向けた更なる取組を推進して行くことが期待される。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/kouhatu-iyaku/04.html