matsuda's blog

日本薬剤師会が朝日新聞記事に反論

日本薬剤師会は、221日、「131日付朝日新聞の記事に対する日本薬剤師会の対応」を明らかにしました。

朝日新聞2013131日付朝刊(東京版)13面に提琴の署名にて「経済気象台 調剤薬局は花盛り」が掲載されました。保険薬局と医薬分業について記載したものですが、一方的な解釈に基づく薬局批判の記事であり、一般読者の誤解を招く内容が認められるため、日本薬剤師会として反論したものです。生出泉太郎副会長名で朝日新聞東京本社広報部に反論文が提出されています。

内容は次の通りです。

 

医薬分業は、薬の専門家である薬剤師が処方箋の内容を確認し、相互作用や用法・用量や患者さんの体質などを確認して調剤すること、すなわち薬の適正使用と安全確保のために進められてきたものである。高齢化の進展や薬物治療の高度化に伴い、適切な情報提供による服薬指導・薬学的管理は、ますます重要になってきている。

1995年度と昨年度(2011年度)を比較して、医薬分業率が20%から64%になった結果、調剤報酬が12,662億円から約65千億円に急上昇しているとの記述については、誤解を招きかねない内容である。

国内の医療用医薬品卸販売額は、日本医薬品卸業連合会ホームページによれば、1995年度の5.37兆円が、201年度には7.69兆円に増加しているが、この間に高齢化が進展して患者数が増加したこと、そして、薬物治療の高度化、長期処方の導入などにより薬剤費が増えた結果を示している。医薬分業率が20%であった1995年度は、残りの80%が院内処方であり、院内で処方される薬剤料は診療費に含まれていたが、医薬分業が進んだ結果、分業相当分の薬剤料が調剤報酬に置き換わり、かつ薬剤費全体も増加したため調剤報酬が急増しているように見えるのである。過去11年間の調剤報酬金額と処方箋枚数から、処方箋枚数(医薬分業率)の増加とともに調剤報酬も上昇してきたが、薬剤料の上昇に比べて技術料の上昇割合は低い。これは、調剤報酬に占める薬剤費率が、1995年度は66.8%であるのに対し、201年は73.3%となっていることからもわかる。

薬剤師の業務は、処方箋どおりに薬を揃えているだけではなく、医師の処方箋記載にミスはないか監査したり、患者が自ら購入して服用している一般用医薬品(大衆薬)、サプリメントなどとの飲み合わせに問題がないかどうかの確認や、間違いのもとになる飲み残し(残薬)の確認もしている。そのほかに調剤報酬が設定されている業務として、お子さん向けの粉薬や液剤を飲みやすくする工夫を施したり、お年寄りが薬の飲み忘れを防ぐための対応などがあり、医薬品の適正使用と医療安全を確保するために必要な薬剤師の業務は、多岐にわたっている。

少子高齢化が進展する中で、薬剤費のみならず医療制度そして社会保障制度全般にわたる改革が必要であることから、社会保障と税の一体改革に向けた議論が本格化しているところである。調剤医療費のみをとらえた一方的解釈によって、読者をミスリードするような論を展開したことに対して、日本薬剤師会として反論する。

 

http://www.nichiyaku.or.jp/

2013/02/21(木) 16:47