超高速インタ-ネット衛星を用いた災害医療支援活動で利用実証実験 日本医師会と宇宙航空研究開発機構が協定締結
社団法人日本医師会および独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、大規模災害発生時の災害対策における超高速インターネット衛星「きずな」の活用方法を検討し、災害医療支援活動への適用に関する実験を共同で実施することを目的として、協定を締結。1月31日に発表しました。
今後、両者で協力し合って実証実験を重ね、次の大規模災害において、有効な支援活動を行えるよう努めていきます。
東日本大震災(平成23年3月11日)において、日本医師会では、被災県医師会との間でTV会議を開催し、被災地の支援ニーズを把握するとともに、多数のJMAT(日本医師会災害医療チーム)を被災地に派遣しましたが、被災地や派遣元との情報共有手段に課題も残りました。他方、JAXAにおいても、岩手県庁と釜石市や大船渡市などとの通信インフラが途絶し、復旧活動に支障を来たしていた被災地に対し、「きずな」により衛星通信回線を提供する支援活動を行うなど、TV会議やインターネットが大いに活用されました。
災害医療支援活動においては、被災地での傷病の発生動向、患者・住民の状態や避難所等の状況などを把握し、関係者間で情報を共有することが必要となりますが、今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震や首都直下地震は、東日本大震災以上の被害が想定されており、被災状況によっては通常の通信環境が機能停止に陥り、インターネットが利用できなくなってしまうことも考えられます。
そのため、日本医師会及びJAXAでは、昨年7月26日、札幌市や首都圏に大震災が発生したという2本のシナリオの下に、「きずな」を介して、日本医師会、北海道医師会、埼玉県医師会の間でTV会議を行うとともに、その中で、インターネットを介してクラウド・コンピューティングにより被災地のカルテや避難所の情報などを共有するデモンストレーションを行いました。
今回の協定は、その結果等を踏まえ、多くの被災者を支援したいとの共通認識も下に、より有効なインターネット衛星による災害時の情報共有手段の確立を目指して締結したものです。