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医薬分業、後発医薬品使用促進の現状と薬局・後発医薬品メーカーの経営 日医総研がワーキングペーパー

日本医師会総合政策研究機構(日医総研)は、1025日、ワーキングペーパー「医薬分業、後発医薬品使用促進の現状と薬局および後発医薬品メーカーの経営」を発表しました。

日本医師会総合政策研究機構は、平成94月に「人に優しい医療を目指して」を掲げて、日本医師会が目指す「国民のための医療政策展開」をサポートするためのシンクタンクとして設立され、国民に選択される医療政策の企画立案や信頼できる正確な情報提供を目指して、研究活動を行ってきました。

医薬分業、後発医薬品に関するワーキングレポートの概要は次の通りです。このワーキングレポートはホームページからダウンロードできます。

       国は医薬分業や後発医薬品の使用を進めるため診療報酬(医科、調剤)上のインセンティブをつけてきた。国も政策の結果として、調剤薬局や後発医薬品メーカーの経営は明らかに向上し、雇用の拡大にも寄与している。調剤薬局や後発医薬品メーカーは今後の展開にも期待して、先行投資を行っている。

       一方、医薬分業や後発医薬品使用促進の成果はあまり明らかではない。

       医薬分業については、医師と薬剤師とのダブルチェックによる安全性の向上などがメリットとして挙げられているが、十分なエビデンスはない。患者の不利益(費用負担の増加、二度手間)に対する明確な回答もない。

       医薬分業に加え、長期処方が進むなどして、医師の業務が薬剤師に移りつつある。財源的には通院間隔が開くので再診回数が減り、医科医療費の抑制につながる。しかし、この分は医科の財源になるわけではなく、現状を見る限り、医科医療費が調剤医療費に置き換わっているように見受けられる。

       後発医薬品の使用促進は、先発医薬品(長期収載品)の薬価低下に一定程度寄与すると見られるが、その一方で高価格の新薬の販売にシフトするためか、薬剤単価は上昇傾向にあり、薬剤費比率は縮小していない。

       医薬分業も、後発医薬品の使用促進も、その流れを逆向きにすることは困難であるが、厚生労働省は、①経済的インセンティブ(処方料・処方せん料、後発医薬品使用に対するもの、長期処方に対するもの)、②医療費抑制効果、③患者への影響(メリット・デメリット)を総合的に検証して政策を再評価し、必要に応じてその見直しを行うべきである。最近、参照価格制度などを導入すべきという意見も浮上しているが、これまでの政策検証プロセスを経ずに、そうした考え方を持ち込むことは問題である。

       薬価は原価等にもとづいて一定のルールの下に決められているほか、調剤報酬も中医協における公正な議論の下に決められているが、保険薬局や後発医薬品メーカー、さらにその他の関連企業には、公的医療保険の下で医療に参加しているという自覚を持って、それぞれの業績を報告する仕組みを設けることを提案したい。現在、「医療経済実態調査」でも保険薬局の収益および費用を調査しているが、全国展開している大手企業については公的医療保険に係る部分(たとえばドラッグストアの調剤事業、医薬品メーカーの国内事業)を独立させて報告するイメージである。そうすることで国民の納得も得られ、医療費財源が適正に配分されて、ひいては公的医療保険の持続可能性向上にも寄与するのではないかと考える。

 

http://www.jmari.med.or.jp/

2012/10/29(月) 15:36