会員の喫煙意識調査を報告 日本医師会
日本医師会は、8月29日の記者会見で、第4回(2012年)日本医師会員喫煙意識調査報告を発表しました。
日本医師会の禁煙推進活動の一環として、会員への喫煙意識調査を2000年、2004年、2008年の4年ごとに実施しており、2012年においても再度調査(委託調査)を実施して、会員の喫煙の現状とその関連要因に関して把握するもので、日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野(大井田隆教授)の協力により実施しました。
医師の喫煙活動に関する日本医師会の取り組みは、1999年にWHOが医師は喫煙すべきでないことを提唱し、2000年に第1回日本医師会員喫煙意識調査実施(喫煙率:男性27.1%、女性6.8%)、2003年に禁煙推進に関する日本医師会宣言(禁煙日医宣言)発表。医師及び医療関係者の禁煙を推進すること、医療機関及び医師会館の全館禁煙を推進することを提唱。2004年に第2回日本医師会員喫煙意識調査実施(喫煙率:男性21.5%、女性5.4%)、2008年に日本医師会「禁煙に関する声明文」を発表。喫煙防止教育の推進など、今後に進めていく5つの取り組みを発表。第3回日本医師会員喫煙意識調査実施(喫煙率:男性15.0%、女性4.6%)、2012年に日本医師会「受動喫煙ゼロ宣言」~子どもたちを受動喫煙から守るために~を発表。妊婦や乳幼児の家庭内での受動喫煙の防止を推進することなど6つの取り組みを発表しました。
今回の調査目的は、
■日本医師会員の喫煙率の推移(2000年から2012年)を明らかにする。
■日本医師会員の喫煙に関する意識について明らかにする。
■医師の喫煙行動に関連する要因を特定する
対象者は、2011年時点の日本医師会員の中から、無作為に抽出した男性6,000名、女性
1,500名で、郵送により調査しました。調査時期は2012年1月~7月です。
定義は、現在喫煙者:「毎日吸っている」あるいは「時々吸う」と回答した者、過去喫煙者:過去に6ヶ月以上の喫煙習慣を有し、かつ現在喫煙者に該当しない者、非喫煙者:現在喫煙者と過去喫煙者のいずれにも該当しない者で、ニコチン依存者はFTQスコア4点以上としています。
対象者7,500名の中から、入院・死亡・留学・退会・住所不明97名を除く7,403名が実際の対象者です。この中で反応例は5,954名(反応率は80.4%)で、性別・年齢・喫煙状況不明100名を除く5,854名が解析例です。
調査結果は、日本医師会員の喫煙状況の分布、喫煙率の推移、ニコチン依存者率の推移、年齢階級別の喫煙率の推移、診療科別喫煙率の推移(男女)、毎日喫煙する人の1日当たりの喫煙本数、就労状況と喫煙率、休日取得・労働時間と喫煙率、生活習慣と喫煙率、メンタルヘルスと喫煙率、医師の喫煙率の国際比較、国民の喫煙率と医師の喫煙率の比較が紹介されています。
<結果の要約>
■ 2012年の喫煙率:男性医師12.5%、女性医師2.9%
■ 喫煙率は2000年の調査開始時に比べて男女とも有意に低下した。
■ ニコチン依存者率は男性において2000年の調査開始時に比べて有意に低下した。
■ 男性では、ほぼ全ての年齢階級で喫煙率の有意な低下が認められた。
■ 女性では、40歳代、50歳代、70歳以上で喫煙率の有意な低下が認められた。
■ 男性では、全ての診療科で喫煙率の有意な低下が認められた。
■ 女性では、サンプル数の多い内科、小児科で喫煙率の有意な低下が確認された
■ 男性の毎日喫煙者において、喫煙本数の減少傾向が認められた。
■ 医師の喫煙に陽性に関連する要因は、男性、60歳代、月4回以上の夜勤・当直、毎日の飲酒習慣、運動習慣がないことであった。
<結論>
■ 日本医師会員の喫煙率は男女ともに減少している。
■ 喫煙率の減少は、男性では、ほぼ全ての年齢階級、全ての診療科で観察された。
■ 本研究結果を踏まえた上で、日本医師会による喫煙防止啓発活動が、益々推進されていくことが期待される。