医薬品医療機器総合機構が医療機関における安全性情報伝達・活用状況調査
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、医薬品医療機器情報提供ホームページで、8月10日、医薬品関連情報として、「医薬品安全対策の新たな事業・調査など」の「医療機関における医薬品安全性情報の伝達・活用状況に関する調査」に調査結果を掲載しました。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、医薬品や医療機器の安全な使用に資するため、添付文書の「使用上の注意の改訂」等の安全対策を厚生労働省とともに検討・決定しています。これらの安全性情報は、厚生労働省、PMDA、製薬企業等から医療機関に情報提供されていますが、提供された最新の情報が、臨床現場へ適切に伝達され、活用されることが求められています。
PMDAでは、第二期中期計画において、「企業から伝達された情報の医療機関内での伝達・活用の状況を確認するための調査を段階的に実施する」こととしており、医療機関における安全性情報の伝達・活用状況に関する調査を実施しています。
本調査は、医療機関における安全性情報の伝達・活用状況を把握するとともに、適切な情報伝達・活用方策のあり方を検討することを目的として実施しました。
調査対象は、全国の病院8,640施設(病床数20床以上を有する病院、調査票は8647施設に発送し、廃・閉院となった7施設を除く)で、2012年1月20日~2月10日に郵送による調査を実施しました。調査対象となった病院1施設について、医薬品安全管理責任者1名、医師6名の合計7名に調査を依頼しました。有効回収数は2,242施設(有効回収率25.9%)です。
調査結果は報告書としてまとめられていますが、報告書の内容を、「医療機関における医薬品等の情報の伝達・活用状況調査に関する検討会」の委員の意見も踏まえ、要点をとりまとめました。
「医療機関における医薬品安全性情報の伝達・活用状況に関する調査」の調査結果からわかる望まれる方向が示されていますが、要点は次の通りです。
◇ 施設の規模・実情に応じた医薬品安全対策の構築
○ 小規模施設(病床数100床未満):安全性情報の入手源の確保
安全性情報を迅速かつ確実に入手するための情報源の確保が課題である。
○ 大規模施設:施設内での確実な情報伝達スキームの確立
情報源の確保だけでなく、処方する全ての医師に対して確実に情報を伝達するスキームを確立することが課題である。
◇ 継続的な情報伝達(リマインド)による情報の定着化
たまに処方する医師に対しても繰り返し情報を提供するなど、全ての処方医の記憶にとどまるように注意して情報伝達を行うことが必要である。
◇ 複数の手段による処方医への情報伝達
医療機関内で複数の手段によって効果的に情報伝達を実施することが、処方医が情報を認知するためには有効であると推察される。
◇ 処方医とのコミュニケーション
コミュニケーションを活用した積極的な注意喚起への対応を行なうことが、処方医が情報を確実に認知するためには有効であると推察される。
◇ 処方時の意識・行動の変化につながる確実な情報伝達
注意喚起内容の遵守を促すために、処方医に対し注意喚起内容を確実に伝達する手段を講じることが望まれる。
◇ PMDAからの情報の活用
PMDAからの情報を効率的に活用することが医薬品の安全性情報の管理に役立つものと思われる。
◇ 院外採用薬の安全性情報管理の強化
処方する側が最新の安全性情報を適切に把握しておくことは最低限必須である。また、院外処方箋を応需する薬局が適切に処方監査を行うことができる仕組みの構築も望まれる。
◇ 持参薬の安全性情報管理の強化
様々な薬剤が持参薬として使用されている可能性があるため、常時最新の医薬品情報を管理することが重要であり、体制の強化が必要である。