お薬手帳の有用性など東日本大震災に対する対応について検証 厚生労働省
厚生労働省は、7月20日、昨年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に対する厚生労働省の対応について、厚生労働省アフターサービス推進室を中心に、当時の検証と今後の対応策を取りまとめ、公表しました。
厚生労働省では、災害救助法に基づく救助を行ったほか、医療、福祉、雇用など様々な分野で被災者の支援を行いましたが、その対応について、様々な評価を受けています。
そこで、民間出身の調査専門委員4名により構成されるアフターサービス推進室を中心に、本省関係部局、東北厚生局・労働局等の各出先機関、関係自治体、関係団体等の担当者に対してヒアリング等を行うことなどにより、当時の厚生労働省の対応を調査・検証し、反省点を踏まえた今後の対応策を示し、各部局において必要な対策を講じることとしました。
調査については、今回は、特に被災後の初期対応の検証が求められる分野を中心に、6つのテーマを選定しました。
Ⅰ 厚生労働省の対応体制(本省と出先機関・地方自治体との連携体制、原子力災害対策本部及び原子力災害現地対策本部への対応、広報のあり方等)
Ⅱ 医師、看護師等の被災地から求められた人材の確保等
Ⅲ 高齢者・病人・障害者の避難所等への移送(東電福島第一原発警戒区域、避難指示区域からの区域外大規模搬送を含む)、避難所等への必要な医薬品、医療機器等の配備
Ⅳ 義援金の早期配分
Ⅴ 心のケアを含めた子ども・子育ての復興
Ⅵ 雇用の復興(雇用創出基金事業の成果の検証など)
報告書は、それぞれのテーマについて、<課題・反省点>と<今後の対応策>がまとめられています。
この中で、ⅡとⅢについては次の通りです。
▽ 医師、看護師等の人材の確保等
<課題・反省点>
・ EMIS(広域災害・救急医療情報システム)未導入県があり、厚生労働省において病院被害状況の迅速な情報収集が困難となり、孤立した病院への支援が遅れた。
・ 救命医療の提供が期待されるDMAT(災害派遣医療チーム)に対し、日常的な医療等が求められるなど、医療ニーズにミスマッチが発生。
<今後の対応策>
・ EMIS(広域災害・救急医療情報システム)未導入県への働きかけを引き続き行い、未導入権の解消を促進。
・ DMAT(災害派遣医療チーム)が外傷治療のみならず、より広範な医療に対応できるよう、研修内容を改善。
▽ 高齢者等の避難所等への移送、避難所等への必要な医薬品、医療機器等の配備
<課題・反省点>
・ 障害者(児)の集団的避難先の中に医療福祉と全く関係のない施設があったが、避難者の受け入れに県や市の許可が必要となり、時間がかかった。
・ ガソリン不足による給油制限のため、発災後初期には医薬品等の広域輸送、搬送に支障が生じた。
・ 避難所の患者情報が乏しい中で、医療チーム等が携行できる医薬品の種類や量には限度があり、発災後初期には、避難所等で医薬品の不足が生じた。
<今後の対応策>
・ 緊急時には、福祉目的以外の公的施設や民間施設の活用も必要になると予想されるため、これらの施設を緊急対策に組み込む手順等について、関係省庁や地方自治体と協議して対策を実施。
・ 被災状況に応じた医薬品等搬送車両に対する優先給油等の取扱いについて関係省庁と協議を実施。
・ 医薬品の需給状況等を迅速に把握した上で必要な支援を実施。また、薬剤の使用状況の把握等に優れたお薬手帳の有用性等を踏まえ、電子化お薬手帳の普及を促進。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002fehm.html