社会保障制度改革推進法案等で見解 日本医師会
日本医師会は、6月27日の定例記者会見で、「社会保障制度改革推進法案等に対する見解」を発表しました。
内容は次の通りです。
昨日(6月26日)、衆議院で、社会保障制度改革推進法案を含む消費税関連法案が可決されました。
社会保障のための安定的財源の1つとして消費税があてられることについて、一定の評価をしたいと思います。崩壊しつつある地域の医療、介護に代表される社会保障の機能強化に確実に結びついていくことを期待します。
ただし、「社会保障制度改革推進法案」では、懸念される点もあります。
日本ではこれまで、「国民皆保険」を堅持してきましたが、今回の法案では、医療保険制度は、原則全ての国民が加入する仕組みであり、給付範囲の適正化を図ること、とされています。日本医師会は、これまで、国民皆保険とは、すべての国民が加入し、かつ、①公的な医療給付範囲を将来にわたって維持すること、②混合診療を全面解禁しないこと、③株式会社を医療機関経営に参入させないこと-が重要であると主張してきました。今回の法案が、給付範囲の縮小、国民が受けられる医療の格差拡大につながらないよう、日本医師会としてしっかりと注視します。
今後、社会保障改革の審議は「社会保障制度改革国民会議」の審議に委ねられます。日本医師会としては、まず、地域医療の代表として国民会議の委員として任命されることを望みます。そして、消費増税が決まった反面、高齢者医療制度をはじめとする医療保険制度改革の議論は先送りされたわけですから、国民、患者さんのこれ以上の負担にならないよう配慮しなければなりません。患者一部負担割合が引き上げられたり、受診時定額負担の提案が復活したりすることがないようにしなければなりません。
そのうえで、しっかりと国民のみなさんが安心できる医療、介護保険制度の将来像構築に取り組みたいと考えます。またその際、いつも申し上げておりますように、地域の実情を踏まえ、地域密着型の医療提供体制を提案していきたいと思います。