一般用医薬品のインターネット販売で見解 日本薬剤師会
日本薬剤師会は、6月7日の記者会見で、「一般用医薬品のインターネット販売に対する日本薬剤師会の見解」を発表しました。
<意見>
「一般用医薬品のインターネット販売の規制緩和については、以下の理由により、反対します。」
<理由>
1.医薬品の副作用による健康被害を最小限に抑えるためには、適切な服薬指導、情報提供とともに、副作用の発症後の適切な指導、措置、受診勧告など、悪化防止のための迅速な対応が不可欠であるが、インターネット販売ではそうした対応は困難であると考えられる。
2.「対面」の最も重要な意味は、販売者の実態・実存を、購入者が確認できることにある。生命関連商品である医薬品の安全性を確保するためには、「責任者の所在の確認が可能である」ことが、絶対不可欠の要素である。先般のバスツアー事故を見ても、インターネット販売については責任の所在が大きな問題であると考えられる。
3.また、インターネット販売では、脱法ドラッグ、脱法ハーブ、偽造医薬品、不良健康食品など、犯罪や健康被害が続発しているが、その主な原因は、インターネット販売の「匿名性」である。販売責任者をパソコン上しか確認できないインターネット販売サイトは、生命関連商品である医薬品の販売の場として不適当と言わざるを得ない。
また、我が国の現状と鑑みれば、現実論として法整備の遅れのため、インターネット犯罪を取り締まるどころか、コントロールが困難な状態である。このような状況は、ネット先進国でも同様であり、世界共通の問題になっている。
4.インターネットによる医薬品販売は、そもそも規制緩和の一環であり、規制緩和は生活者自らの自己責任を基本としている。しかし、我が国における消費者トラブルの内容から見ても、日本では自己責任という考え方について、まだまだ国民の理解は十分に得られていない。
このような現状では、医薬品インターネット販売の規制緩和は問題である。