ノバルティスファーマがCOPDに関する意識調査実施
ノバルティス ファーマは、全国の40歳以上で喫煙歴があり、咳・痰の症状を持つ未受診男性868名に対し、慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)に関するインターネット調査を2012年3月に実施、その結果を5月28日に発表しました。
COPDは、主にタバコの煙など有害物質を長期間吸入することで生じる肺の炎症性疾患で、以前、肺気腫と呼ばれていた疾患と慢性気管支炎と呼ばれていた疾患の総称として、2011年からガイドラインに明記されました。40歳以上で喫煙歴があり、慢性的な咳や痰、また労作時の息切れがある場合にはCOPDが疑われます。しかし、初期段階の咳・痰は「風邪のせい」、息切れは「年のせい」と思われがちで、COPDを早期に発見することを難しくしている可能性があると言われています。
今回の調査は、40歳以上で喫煙歴があり、咳や痰の症状がありながらも病院を受診していない男性868名に対して、COPDに罹患する可能性が高い人の咳や痰、息切れに対する認識を明らかにする目的でCOPDに関する意識調査を実施しました。
調査の結果、COPDに対する認知率は33%と、肺気腫や慢性気管支炎に対する認知率71%、71%と比較して低く、新しい概念の普及度合いが低いことがわかりました。また、「咳・痰」や「息切れ」は「肺の病気である」と認識している人は、約4割弱(それぞれ40%、33%)と少ないことがわかりました。さらに、約半数は「咳・痰」や「息切れ」は「タバコを減らす、または止めれば抑えられる」(それぞれ57%、47%)と認識していながらも喫煙を継続していることも明らかになりました。
また、「咳」や「痰」が「深刻である」と回答した方と「深刻でない」と回答した方の喫煙歴をその指標であるパックイヤー(Pack-Year)で比較してみると、それぞれの差は5パックイヤー(43パックイヤー、38パックイヤー)と6パックイヤー(43パックイヤー、37パックイヤー)で、「深刻さ」はパックイヤーと相関していることが明らかになりました。
パックイヤーは、1日に何箱のタバコを何年間吸い続けたかを掛け合わせたもので、喫煙歴の指標とされています。COPDは喫煙歴のある人で12%強が発症すると言われていますが、20パックイヤーの喫煙歴の人のCOPDの発症率は19%、60パックイヤーの喫煙歴では約70%にCOPDが認められ、数が多いほどリスクが高くなります。
日本のCOPD有病率は約8.6%で、患者数は約530万人と言われています。しかし、厚生労働省が実施した患者調査によると、COPDの受診患者数は20万人程度と、多くの患者さんが診断・治療を受けていないのが現状です。また、COPDによる死亡者数は年々増加しており、世界の死亡ランキングは2020年には3位になると推計されており、COPDの早期発見、早期治療の重要性はますます高まってきています。
パックイヤー:長期間にわたって、ある人が吸ったタバコの量を測定する方法。例えば、20パックイヤーは、1日1箱を20年間、または1日2箱を10年間吸った量に相当する。
【主な調査結果のサマリー】
■ COPD、肺気腫、慢性気管支炎、それぞれに対する認知率は33%、71%、71%
■ 「咳・痰は肺の病気である」と思っているのは、喫煙歴があり慢性的に咳・痰のある未受診者の40%
■ 「息切れが肺の病気である」と思っているのは、喫煙歴があり慢性的に咳・痰のある未受診者の33%
■ 「咳・痰の症状は、タバコを減らす、または止めれば抑えられる」と思っているのは、慢性的に咳・痰のある未だに喫煙している未受診者の57%
■ 「息切れの症状は、タバコを減らす、または止めれば抑えられる」と思っているのは、慢性的に咳・痰のある未だに喫煙している未受診者の47%
■ 慢性的に咳・痰のある未受診者で、「咳が深刻」と思っている人と「痰が深刻でない」と思っている人の喫煙率の差は、6パックイヤー
■ 慢性的に咳・痰のある未受診者で、「咳が深刻」と思っている人と「席が深刻でない」と思っている人の喫煙歴の差は、5パックイヤー