22年度一般用医薬品の適正使用情報入手状況等調査結果を公表 医薬品医療機器総合機構
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、3月23日、適正使用情報提供等確認事業の中で、「平成22年度一般用医薬品の適正使用情報入手状況等調査」の結果を公表しました。
インターネットの普及により、消費者の商品購入経路が多様化しています。この状況は一般用医薬品においても例外ではなく、店舗での販売や配置による販売のほか、インターネットやテレビによる通信販売も利用されています。消費者の安全を守るという観点からは、消費者が購入経路によらず確実に医薬品の適正使用情報を入手することが極めて重要です。
本調査は、対面による販売及び対面以外の販売(インターネットによる通信販売、電話による通信販売等)という購入経路の違いによって、一般用医薬品の適正使用に関する情報入手状況や、副作用が発生した場合の対応等に差異がないかについて調査するとともに、購入経路ごとの課題を把握し、今後の議論の基礎資料とすることを目的としています。
調査方法は、一般用医薬品の購入経験がある一般消費者を対象に、Webサイトを用いたインターネットによる調査で、調査対象はアンケート会社に登録しているモニターから抽出しました。
インターネット調査の回答者は一般的にITリテラシー(コンピューターなどの情報機器・技術を使いこなす能力)が高く、インターネットで医薬品を購入する割合が一般国民よりも高い可能性があるため、調査票による郵送調査を並行して実施し、回答者の属性比較を行うとともに、医薬品の購入経路の選択性に違いがないことを確認しました。
調査は平成22年12月に実施。「最近3年以内に一般用医薬品を購入したことがある」という条件で調査対象をスクリーニングし、回収数はインターネット調査10,102件、郵送調査1,009件です。スクリーニング後の調査対象者を年代別(20代~70代)・性別・地域別の人口分布に応じて割付しました。モニター数に不足が見込まれる70代については同地域の60代のモニターで補うこととしました。アンケート調査項目は、1基礎情報、2よく購入する医薬品と購入経路、3一般用医薬品での副作用経験および副作用が起こった場合の相談先、4その他の19項目です。
分析項目は、(1)インターネット調査および郵送調査における回答者属性と購入経路の比較:両調査における回答者の属性と医薬品を購入する際のインターネット利用率について比較、(2)インターネット調査における回答者属性と購入経路の関係:回答者属性が購入経路の選択性に及ぼす影響を分析、(3)購入経路ごとの特徴・差異の分析(インターネット調査):購入経路ごとの適正使用情報取得状況および副作用時の対応について分析、です。
<まとめ>(インターネット調査)
(1)多くが薬局・薬店などの店頭で購入している:一般用医薬品の購入経路は、多くが薬局・薬店などの店頭での購入であり、インターネット経由や電話注文による購入は全体の1割程度であった。
(2)薬局・薬店では主に第2類医薬品が、インターネット通販では主に第3類医薬品が購入されている:インターネット通信販売による一般用医薬品購入経験者の多くは、薬局・薬店では風邪薬などの治療目的のものが多く、比較的リスクの高い第2類医薬品を主に購入し、インターネット通信販売ではビタミン剤など比較的リスクが低く、予防目的のものでより安価なものを購入していた。
(3)購入経路により適正使用情報の情報源・取得内容に違いがある:購入経路により情報源やそこから得た情報の内容は異なるものの、情報に対する理解度や満足度に違いはなかった。
(4)副作用が起きた場合「医療機関」「薬局・薬店」に相談する人が多い:インターネット通信販売で一般用医薬品を購入した場合でも、もし副作用が起きた場合は医療機関や薬局・薬店での相談を想定している。
(5)薬局・薬店でのみ購入した人の方が情報を必要としている場合が高い傾向にある:インターネット通信販売のみで購入した人に比べ、薬局・薬店でのみ一般用医薬品を購入した人の方が情報を必要としている割合が高く、また副作用が起きた場合の対処法や効果に不安を感じている人の割合も高い傾向にあった。この要因としては、①店頭ではリスクの高い第2類医薬品を購入すること、②インターネットでは、すでに情報を得ている服用経験のある医薬品を購入するケースが多いことなどが考えられる。
(6)まとめ:購入経路によって購入一般用医薬品の種類で傾向に差があり、購入経路ごとに購入時に取得した適正使用情報の内容も異なることが示された。消費者に購入経路の特性を生かした適切な情報提供ができるようその伝達方法のあり方を検討していくことが求められる。さらに、副作用発生時には医療機関、薬局・薬店での相談を求める人が多く、今後は相談窓口としての薬局・薬店の機能をより強化していくことも重要であろう。また、PMDA等でも相談窓口を設けており、周知の必要があると思われる。
なお、詳細は医薬品医療機器情報提供ホームページ(http://www.info.pmda.go.jp/)で見ることができます。
http://www.pmda.go.jp/