日本医師会が受動喫煙ゼロ宣言
日本医師会は、2月29日、「受動喫煙ゼロ宣言」を発表しました。宣言は次の通りです。
日本医師会「受動喫煙ゼロ宣言」
~子どもたちを受動喫煙から守るために~
喫煙は、肺がんをはじめとするさまざまながんだけでなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、脳卒中や心筋梗塞など、多くの疾患の要因となります。
他の先進諸国に比べ、喫煙率の高いわが国において、喫煙率の低下、受動喫煙の防止は、国民の健康を守るための喫緊の課題であると認識しています。
日本医師会は喫煙による健康被害から国民を守ることを目的に、平成15年3月「禁煙推進に関する日本医師会宣言」(禁煙日医宣言)を公表しました。
また、医師自らが範を示すことの重要性に鑑み、平成12年に「日本医師会喫煙意識調査」を実施いたしました。以後調査名を「日本医師会員の喫煙とその関連要因に関する調査」とし、4年毎に継続的に実施し、医師に対する禁煙の啓発を行ってまいりました。そして、平成13年7月に日本医師会館の全館禁煙を、平成23年1月に敷地内全面禁煙を実施するとともに、平成20年9月に「禁煙に関する声明文」を発表しています。
さらに、たばこの健康被害を減少させるための禁煙、受動喫煙防止のためのさまざまな提言を採択した世界医師会の「タバコとタバコ製品による健康被害に関するWMA声明」(1988年採択、2011年修正)、アジア大洋州医師会連合「アジア大洋州地域におけるたばこ規制に関するCMAAO宣言」(2011年採択)に、日本医師会は深く関わりこれを支持しました。
一方、わが国は「たばこの規制に関する世界保健機関(WHO)枠組条約(FCTC)」の締約国となっているにも関わらず、完全履行を果たせていないのが現状です。
いま政府は、職場の全面禁煙、空間分煙を事業者に義務づけることで受動喫煙防止対策の強化を目指しています。このような施策が速やかに実行されることを願うものです。
このような状況のなか、今般、厚生労働省が示した「がん対策推進基本計画」(素案)において、平成34(2022)年度までに禁煙希望者が禁煙することにより成人喫煙率を12.2%とする数値目標を明記したことについては、日本医師会として一定の評価をするものです。
しかし、喫煙は喫煙者本人のみでなく、周囲の非喫煙者にも受動喫煙というかたちで害を及ぼすことから、日本医師会は、受動喫煙から非喫煙者を守るために、ここに「受動喫煙ゼロ宣言」を行い、以下の取り組みを進めていきます。
1.妊婦や乳幼児の家庭内での受動喫煙の防止を推進します。
2.学校保健の場を通じて、児童・生徒にたばこの有害性などについての健康教育を推進します。
3.医師をはじめとしたすべての医療関係者の喫煙率ゼロを目指します。
4.すべての医療機関の敷地内の全面禁煙を推進します。
5.公共的施設の敷地内全面禁煙を国や自治体に働きかけます。
6.健診や日常診療の機会に禁煙教育の徹底を図ります。