ヘモグロビンA1cの国際基準への対応 糖尿病学会等が表明 厚労省も対応
厚生労働省の第3回健診・保健指導の在り方に冠する検討会は、2月6日に開催されましたが、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の国際基準への対応について報告が行われました。平成24年度における特定健康診査及び特定保健指導に関する記録の取扱いについて、厚生労働省健康局及び保険局名による事務連絡を発出し、周知を図ることとしています。
HbA1cは、赤血球内の酸素を運ぶ主要な血色素であるヘモグロビンA(HbA)に血液中のブドウ糖が結合して離れなくなったもので、血糖コントロールの指標としてのみならず、糖尿病の診断基準の1つとして活用が推進されていますが、現在、わが国で使用されているHbA1c値であるJDS(Japan Diabetes Society)値「HbA1c(JDS)」は、世界の大部分の国で使用されているNGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値「HbA1c(NGSP)」と比較して約0.4%低値を示すことが明らかになっています。
そのため、わが国の疫学・臨床成績・基礎的研究などの成果についての齟齬や誤解を生じないよう、2010年7月から英文誌や国際学会における発表では、NGSP値に相当する値での表示を進めてきました。
一方、この間、日本糖尿病学会では、根本的な解決のため、わが国の日常臨床も含めた糖尿病の診療・研究全般において、HbA1cの国際標準化を推進すべく準備を進め、その体制が整ったため、4月1日から、わが国においてもNGSP値「HbA1c(NGSP)」の使用を開始することとしました。なお、当面の間は、JDS値も併記することとしています。1月20日に日本糖尿病学会・日本糖尿病協会・日本糖尿病対策推進会議が記者会見して明らかにしています。
これに伴い、厚生労働省では、平成24年度から日常の診療において、ヘモグロビンA1c検査結果の説明につき従来のJDS値と国際的な認証を受けたNGSP値が併記されることに伴い、特定健診等に関する記録の取り扱いを示し、周知を図るものです。
連絡内容は、(1)保険者が特定健診等の実施を委託する場合の取扱い、(2)労働安全衛生法に基づく健康診断を事業主が行い、当該健診結果を特定健診に代える場合の取扱い、(3)人間ドック健診等の特定健診以外の健診について、保険者がその結果を特定健診に代える目的で行う場合の取扱いです。
学会が明らかにした「日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c国際標準化の基本方針及びHbA1c表記の運用指針」では、日常臨床及び特定健診・保健指導におけるHbA1c表記については、日常臨床は平成24年4月1日よりNGSP値を用い、当面の間、JDS値も併記すること、特定健診・保健指導は、システム変更や保健指導上の問題を避けるため、平成24年4月1日~平成25年3月31日の期間は、受診者への結果通知及び保険者への結果報告のいずれも従来通りJDS値のみを用いること、平成25年4月1日以降の取り扱いについては関係者間で協議し検討することとしています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000220ri.html