禁煙支援分野における薬剤師の役割・業務に関する報告 日本薬剤師会
日本薬剤師会は、2月1日、「禁煙支援分野における薬剤師の役割・業務に関する報告」を発表しました。
社団法人日本薬剤師会と独立行政法人国立がん研究センター・がん対策情報センター・たばこ政策研究部は、禁煙支援分野における薬剤師の役割・業務を明らかとすること、また、薬剤師による禁煙支援のより一層の充実を図ることを目的として、平成23年5月、「薬剤師の禁煙支援の取り組みに関するアンケート調査」を実施、その調査結果から、「禁煙支援分野における薬剤師の役割・業務に関する報告」を取りまとめ、公表したものです。
この調査は、禁煙支援分野における薬剤師の役割・業務を明らかにし、禁煙支援に関わる関係者の理解を促進すること、また、禁煙支援に係る薬剤師の取り組みの現状を把握し、公表することで薬剤師による禁煙指導のより一層の充実を図ることを目的として実施したものです。
日本薬剤師会は、平成21年度に、薬剤師の禁煙支援に対する取り組みの実態を把握することを目的として「都道府県薬剤師会における禁煙支援への取り組み等に関する調査」を実施しましたが、当該調査は都道府県薬剤師会を対象としており、薬剤師を対象としたものではなかったため、薬剤師による禁煙支援の実態をより的確に把握するには薬剤師を対象とする調査を実施する必要性があったことから、今回の調査に至ったものです。
調査対象は、日本薬剤師会・職能対策委員会地域保健検討会委員が所属する地域支部(11支部)薬剤師会の会員2,530名で、平成23年5月~6月に実施しました。回収は1,961名、回収率は77.5%です。内訳は、男655名(33.4%)、女837名(42.7%)、未記入469名(22.9%)となっています。
調査を通じて、薬剤師の禁煙支援の一連の流れである、①予防教育、②禁煙誘導(動機付け)、③禁煙補助剤の供給と服薬指導、④禁煙指導、⑤経過観察と介入-と、禁煙の達成までのあらゆる過程で関わっていることが改めて明らかとなりました。「薬剤師にとって禁煙支援は薬剤師業務の縮図である」としており、同時に、「薬剤師に禁煙支援分野の知識を普及することや、地域住民に対して薬局が禁煙支援や健康に関するコンサルテーションを行う場であることの広報については、薬剤師会等を中心に組織的に取り組んでいく課題である」と指摘しています。
そして、今回の調査結果から、今後さらに取り組みを進めるべき施策として次の点を挙げ、「関係者の協力を得て、実行可能なものから取り組みを進めることが重要である」としています。
○ 薬剤師に対する禁煙支援分野の知識の普及
禁煙支援に関する薬剤師向けの資料、教材等の充実
○ 日本薬剤師会「禁煙運動宣言」の周知及び各項目の推進
特に、薬剤師の禁煙、薬局・店舗でたばこ販売を行わないこと
○ 薬局で薬剤師から禁煙支援を受けられることの地域住民へのPR
薬局が地域住民の健康支援を行う場であるとして認知されるための業務の実践と広報活動
○ 喫煙行動に結びつかないための予防教育の充実
薬剤師から地域住民への啓発活動
学校薬剤師から児童・生徒、教員や保護者への啓発活動のさらなる充実
啓発活動のための資料や各地域の有用事例等を共有できる仕組みの検討