肝炎研究10ヵ年戦略を取りまとめ 厚生労働省
厚生労働省は、12月26日、「肝炎研究10ヵ年戦略」について発表しました。
「肝炎研究7ヵ年戦略」(平成20年6月20日取りまとめ)の中間年に当たる本年、平成23年9月8日及び11月22日に開催された「肝炎治療戦略会議」において、これまでの研究の進捗状況の評価及び本戦略の見直しの検討が行われ、平成24年度を初年度とする新たな「肝炎研究10ヵ年戦略」として取りまとめられました。
戦略は、1.研究の現状及び課題、2.今後の研究における方向性、3.具体的な研究課題、4.戦略の目標、5.研究を進めるための基盤整備、6.戦略の評価と見直しの、項目に分けてまとめられています。
我が国における肝炎研究は、血清肝炎調査研究班(昭和38年度)として開始され、非A非B型肝炎研究班等、研究事業名や研究テーマを変更しながら継続的に行われてきました。
その後、平成10年度に新興・再興感染症研究事業の中に、ウイルス肝炎及びその進展した病態としての肝硬変、肝がんについての研究が進められてきました。
また、平成14年度から、独立した肝炎の研究事業として、「肝炎等克服緊急対策研究事業(肝炎研究分野)」が開始され、基礎から臨床応用分野まで幅広く研究が進められ、現在まで継続しています。
平成20年6月、国内の肝炎研究の専門家が集まり、肝炎研究の今後の方向性やその実現に向けた対策について記した「肝炎研究7ヵ年戦略」を取りまとめ、以後、厚生労働省としてはこれを受けて、肝炎治療実績の大幅な改善につながる成果の獲得を目標とし、その取組が肝炎患者、国民に還元されるよう、肝炎、肝硬変及び肝がんを始めとした肝疾患の研究の充実・強化に取り組んできました。
平成22年1月に「肝炎対策基本法」が施行され、同法において策定することとなっている「肝炎対策の推進に関する基本的な指針」が本年5月16日に告示され、この指針においても肝炎に関する基礎、臨床及び疫学研究等を総合的に推進する必要があると明記されました。
これらの経緯を踏まえ、肝炎研究7ヵ年戦略の中間年に当たる本年、国内の肝炎研究の専門家が再度集まり、これまでの研究の進捗状況を評価した上で、戦略見直しの検討を行いました。その結果を、平成24年度を初年度とする新たな「肝炎研究10ヵ年戦略」として取りまとめ、今後の肝炎研究の方向性を提示するものです。
「戦略の目標」は、
「今後10年間(平成24年度~33年度)で、各研究課題に取り組み、その研究成果を予防、診断及び治療に反映させる」とし、その結果として、これまで改善が極めて困難と言われてきた肝疾患の治療成績について、
(1)インターフェロン製剤投与によるB型肝炎のVR率を現状の約20~30%から約40%まで改善、
(2)C型肝炎(1b型の高ウイルス量症例)のSVR率を現状の約50%から約80%まで改善、
(3)非代償性肝硬変(Child-PughC)における5年生存率を現状の約25%から、B型肝炎由来では約50%まで、C型肝炎由来では約35%まで改善、
(4)進行肝がんの5年生存率を現状の約25%から約40%まで改善、
を目指す。
としています。