受診時定額負担反対で署名活動 国民医療推進協議会
国民医療推進協議会は、「日本の医療を守るための国民運動」として、受診時定額負担に反対する署名活動を展開することになり、協議会と日本医師会名で11月11日付の趣意書を発表しました。12日の定例記者会見で明らかにしています。
国民医療協議会は、平成16年10月、「国民の健康の増進と福祉の向上を図るため、医療・介護・保健および福祉行政の拡充強化をめざし、積極的に諸活動を推進すること」を目的に、日本医師会が各医療関係者団体等に呼びかけ、発足しました。現在、40団体が参加しています。
これまでの活動としては、混合診療の導入反対、患者負担増反対等、国民皆保険制度を守るための活動や、禁煙推進運動などを行ってきました。現在、東日本大震災からの被災地域の早期復興を願い、持続可能な社会保障の確立を求める一方、国民皆保険制度の崩壊に繋がる医療への株式会社の参入や、受診時定額負担の導入など更なる患者負担増に反対する国民の声を政府に届けることを目的とした"日本の医療を守るための国民運動"を展開しています。
11日に示された趣意書は次の通りです。
三月十一日に発生した東日本大震災は未曾有の国難であり、原子力災害は今なお進行中です。被災地には、当然受けることができるはずの医療がありません。また、金融危機は、わが国の経済も直撃しました。雇用回復は見通せず、家計は厳しさを増しています。
このような中、政府は、病院や診療所にかかったときに新たな負担を求める「受診時定額負担」を提案しました。現在、若い方は医療費の三割、七十五歳以上の多くの方は医療費の一割を負担しています。政府案は、このうえ、受診するたびに新たに百円を徴収しようとしているのです。
医療が高度化し、先進的な技術や薬剤を使用することによって、病気が治るようになっています。こうした技術や薬剤は高額であるため、患者さんの負担軽減が急務です。政府は「受診時定額負担」の収入を、高額療養を受ける患者さんの負担軽減に充当しようとしています。しかし、別の病気で治療中の患者さんに負担を求める考え方は理屈がとおりません。みんなで支えあう健康保険なのですから、保険料や税金でまかなうべきです。
また、政府は今のところ、受診するたびに百円を負担する提案を行っていますが、いずれ五百円、千円になっていくおそれがあります。所得の少ない方、受診回数の多い高齢者の方には大きな負担になります。受診を差し控え、手遅れになってしまうこともなりかねません。
日本は、いつでも、どこでも、誰でも同じ医療を受けることができる国民皆保険を守ってきました。日本人の健康長寿は世界的にも高く評価されています。しかしながら、今回の「受診時定額負担」は、所得によって受けることができる医療に格差をもたらすことになり、国民皆保険の崩壊につながるものです。私たちは、「受診時定額負担」の導入を阻止するため、強力に国民運動を展開します。
つきましては、皆様方のご協力の下、一人でも多くの国民が、運動にご参加下さいますよう、ご理解とご支援をたまわりたく、心よりお願い申し上げます。