登録販売者の資質向上対策等で答申 大阪府薬事審議会
大阪府薬事審議会(会長:馬場明道兵庫医療大学副学長)は、8月24日、「大阪府における登録販売者の資質向上対策等」について、橋下徹知事に答申しました。
一般用医薬品の販売において、リスクの程度に応じて専門家(薬剤師、登録販売者)が、適切な情報提供等を行う制度を構築するため、平成21年6月に改正薬事法が全面施行されています。その適切な情報提供や相談対応を行うためには、一般用医薬品販売の新たな専門家となった登録販売者についても、日進月歩の医薬品に対する継続的な研修が不可欠ですが、現在、統一した研修体制は確立されていません。
平成21年度に厚生労働省が行った一般用医薬品販売制度定着状況調査では、一部の薬局・薬店において、専門家による適切な情報提供がなかったという結果も出ており、このような状況が続くと一般用医薬品の不適正な使用による府民への健康被害の発生も懸念されます。
そのため、登録販売者の登録権限を持つ大阪府としても、府民の健康を守るため、登録販売者の資質向上等を図るべく、研修体制の構築や資質が不足した登録販売者への対応などの総合的な対策が必要、として、本年1月26日の薬事審議会に対策等を諮問しました。
審議会では登録販売者資質向上対策等専門委員会を設置して検討を重ね、その結果を審議会として知事に答申したものです。このような形で登録販売者の資質向上対策等をまとめたのは全国でも初めてと思われます。
答申は、第一「はじめに」、第二「現状」、第三「基本的な考え方」、第四「目指す方向」、第五「おわりに」で構成されていますが、第四「目指す方向」は次の通りです。
第四 目指す方向
「第三 基本的な考え方」を踏まえて、各関係者が取り組むべき方向性」
【購入者への情報提供、相談対応について】
○ 登録販売者は、購入者への情報提供、相談対応が適切に実施できるよう、自己学習や研修会への参加を通して、自己研鑽に努め、自己の資質向上を図るべき。
○ 行政は、医薬品の適正使用のために、府民(購入者)へ、正しい知識を身に付けてもらえるよう、医薬品の正しい使い方など必要な啓発を行うことが重要。
【研修体制のあり方について】
○ 登録販売者は、医薬品の最新の知識や副作用情報等を自己学習や関係団体等の実施する研修会へ参加することで身に付けるべきである。
○ 薬局開設者及び医薬品販売業者は、登録販売者に対する研修を確実に実施していくために、業務指針や手順書に実施体制について盛り込む必要がある。実施体制には、研修の実施、研修の内容、研修の方法、研修計画、研修記録などの詳細を盛り込むことが望ましい。
○ 関係団体の研修に当たって、医薬品に対する知識の豊富な薬剤師が講師となることも重要であり、薬剤師会と連携することが望ましい。さらに、研修内容が妥当なものであるかどうか、行政が実施する講習会や関係団体が実施する研修会の具体的方針や具体的内容について、大阪府、保健所設置市、関係団体、有識者等からなる検討会を立ち上げて議論していくべき。
○ 行政は、講習会や立入検査の機会を通して、薬局開設者及び医薬品販売業者に対して、登録販売者への研修の実施あるいは外部の研修等を受講させるよう指導していく必要がある。
【資質が不足した登録販売者について】
○ 薬局開設者及び医薬品販売業者は、資質が不足していると思われる登録販売者については、一旦、一般用医薬品の販売に従事させないなどの措置を取り、通常の研修に加えて、別途、研修計画を策定、実行するなどの対応が必要。
○ 大阪府は、厚生労働省に対して、登録販売者の販売従事登録の消除の規定の運用の明確化や再教育研修などの必要な制度の制定を要望するとともに、府としての取扱いも検討していくべき。