新4年制課程出身者の実務実習等で見解 日本薬剤師会が通知
日本薬剤師会は、8月1日、都道府県薬剤師会会長宛に、「新4年制課程出身者の実務実習等について」の通知を発しました。4日の記者会見で明らかにしています。
通知の要旨は次の通りです。
平成18年度以降の薬学入学者につきまして、薬剤師国家試験(国試)の受験資格は、6年制課程修了者に付与することとされておりますが、経過的措置として、新4年制課程及び2年以上の大学院(修士又は博士)課程(4+2課程)を修了した者で、実務実習の単位取得等の要件を満たし、厚生労働大臣の認定を受けた者には、受験資格が認められています。それを受け、7月28日に開催の新薬剤師養成問題懇談会(新6者懇)では、本件への対応が協議事項としてあげられました。
本会では、薬学教育の質の担保、実務実習における安全の確保等を念頭に、あらかじめ対応を協議し、4+2課程出身者の実務実習実施時期、本課程への第三者評価の実施、本課程出身者の国試受験につきまして、本会意見を取りまとめ、本懇談会の場で公表いたしましたので、ご報告申し上げます。
新4年制課程出身者の実務実習等について
薬学の新4年制課程出身者で所定の薬学系の大学院の課程(修士課程もしくは博士課程)を修了した者(4+2出身者)であって、厚生労働大臣が6年制課程を修了した者と同等以上の学力及び技能を有すると認定した者には、経過的措置として薬剤師国家試験の受験資格が認められている。今後、4+2出身者が実務実習を実施することが予想されるが、新4年制課程と6年制課程では、当初の設置目的及びアドミッション・ポリシーや在学中の履修科目等も根本的に異なっており、4+2出身者が実務実習を実施するためには、実習までに習得しておくべき科目や年限等に関して、教育の質を担保する点から関係者間で一定のコンセンサスを得ていく必要があると考える。そのため、本件に関する本会としての考え方を以下に示す。
1.4+2出身者の実務実習実施時期について
4+2出身者が実務実習を実施する時期等については、教育の質の観点から関係者で合意しておく必要がある。6年制課程の学生は入学後、体系的な教育プログラムに従って、教養教育、早期体験学習、臨床系の科目等を履修のうえ、薬学共用試験を受験している。4+2課程の学生が、在学中に研究者養成等を目的とする教育を受けながら、更にこれらの科目等を十分履修することは不可能と考える。4+2出身者については、修士又は博士課程終了後、最低1年間をかけて6年制過程で実務実習までに必要とされる科目を履修して、事前学習を行い、共用試験を受験するものと考えられ、実務実習は最短でもその翌年度(学部からの計算で8年次)以降とすべきである。
2.4+2課程に関しての第三者評価の実施について
①6年制課程は、高度な医療人養成を目的とすることから、薬学教育改革決定時に第三者評価の実施が決定され、平成21年度には、全大学で「自己評価21」が実施されている。そして、今年度は薬学教育評価機構による3大学のトライアル評価が行われ、平成25年度から第三者評価がスタートするが、6年制課程同様に4+2課程に関しても、教育の質を保証するために、薬学教育プログラムの公正かつ適正な評価等を行う必要がある。
②厚生労働省より平成19年5月に公表された「薬剤師養成のための薬学教育実務実習の実施方法について」でも、実務実習における患者の安全の確保等のために、薬学生の資質の確保につき言及され、「第三者評価によって各大学において質の高い薬学教育が行われていることを客観的に確認する必要がある。」と明記されている。
6年制教育においては参加型実習が行われており、患者の安全性の確保は重要であり、4+2出身者の教育内容についても、第三者評価が必要である。
3.4+2出身者についての薬剤師国家試験受験について
6年制課程では、実務実習終了後の教育(実習後のフォロー含む)・卒業研究についても重要視されている。卒後研究に関しては、第三者評価においても実施時期及び期間が適切に設定されていることが求められており、4+2出身者に関しても同様であり、実習終了後に6年制課程で求められている教育及び研究等が必要になる。そのような事を考えると、薬剤師国家試験の受験は、最短でも大学院修了の翌々年度(学部からの計算で8年次)以降が妥当である。