府立成人病センター建替え検証結果を発表 大阪府
大阪府は、8月3日、府立成人病センター建替えの検証に関する専門家会議の検証結果を発表しました。
府立成人病センターについては、築後45年が経過し施設設備の老朽化・狭隘化が進み、がん医療の高度化に対応できないことや、諸室配置などに機能上の問題が生じており、放射線治療などにおいて多くの待機患者が発生するなど、患者にとって治療機会の逸失にも繋がりかねない状況です。また、施設の一部は耐震性能が不足しており、この点からも建替えは急務となっています。
このため、大阪府においては、平成21年度に「府立成人病センター整備基本構想」を策定し、大手前地区への移転整備を進めてきましたが、本年2月府議会では、現在の森之宮地区において建替える案が議会から新たに示され、審議の結果、大手前地区の整備に係る予算が減額修正され、整備費が認められないことになりました。
このような経緯から、改めて府立成人病センターの建替えについて検証するため、本年6月に「府立成人病センター建替えの検証に関する専門家会議」が設置され、病院建築、医療、患者・家族の視点から技術的かつ専門的な検証を行うこととしました。
なお、会議の使命は、新たな成人病センターの立地場所を検討するに当たり、大手前地区と森之宮地区のどちらが適当であるのかを客観的に検証するものであり、大手前地区および森之宮地区のまちづくりについては検証の対象外としています。
大坪明武庫川女子大学生活環境学部教授を座長とする5名の委員で構成する専門家会議は、3回にわたる議論を経て、第3回目において、意見の集約を行い、専門家会議として結論を取りまとめました。
検証結果は次の通りで、個々の比較検証の項目についても示されています。
○ 大阪府民ががんで亡くなる現状(がんの年齢調整死亡率)をみると、全国ワーストレベルにある。今や2人に1人ががんに罹患する状況の中で、一人でも多くの府民に高度ながん医療を提供し、その命を守ることは、大阪府にとって重要な使命である。
○ その一方、がん医療を取り巻く技術革新は日進月歩であり、新たな治療法や診断法などの研究開発は急速に進んできている。
○ こうしたなか、大阪府のがん治療やがん対策の中核的役割を担う府立成人病センターでは、これまで多くのがん患者の治療において、優秀な成績を残してきたが、近年、施設設備の老朽化、狭隘化が著しく、新たな機能拡充もままならない状況であり、耐震性能の確保も急務となっている。また、放射線治療などにおいて多くの待機患者が発生し、診療機会の逸失につながりかねない状況にあるなど、一日も早い診療機能の拡充整備が求められている。
○ あわせて、府立成人病センターは、府域のみならず日本をリードするがん専門病院として、他の病院では対応できない難治性がんを中心に高度ながん医療を提供するとともに、特定機能病院として、がん治療の研究開発や専門医等の人材育成などの役割を担っており、さらに機能を充実していく必要があるなど、早期の建替え整備は喫緊の課題となっている。
○ 本会議では、以上のことを踏まえ、大阪府民全体の病院として、がん患者に対し一日でも早く高度ながん医療を受けられる環境を整えていくことが重要であるとの認識のもと、患者の療養環境にも配慮しつつ、確実に早期整備が図れる大手前地区での移転建替えに優位性があるという結論に達した。
○ 大阪府においては、本会議での検証結果を踏まえ、府民や地域住民の声を勘案しながら速やかに立地場所を決定し、府民が全国に対して誇れる素晴らしい病院となるよう整備を進められたい。