matsuda's blog

東日本大震災に係る薬剤師会の救援活動(第4報) 日本薬剤師会が発表

日本薬剤師会は、714日、東日本大震災に係る薬剤師会の救援活動について発表(4)しました。派遣薬剤師数は延べ8,378人に達しています。

日本薬剤師会では、東日本大震災が発生した311日、直ちに児玉孝会長を本部長とする災害対策本部を立ち上げ、都道府県薬剤師会との連携のもと、被災地における医薬品の安全・安心な供給と使用を確保するため、継続的に薬剤師の派遣等を行ってきました。

これまでの活動状況の概要は次の通りです。

なお、本年6月末をもって組織的救援活動は終了しましたが、まだ多数の被害者が救援所に居られることから、個別の救援活動は継続する予定です。

 主な内容は次の通りです。

     派遣した薬剤師数(711日現在)

(1)   派遣薬剤師数

     岩手県:実人数337人、延べ人数1,503

     宮城県:実人数1,162人、延べ人数4,784

     福島県:実人数559人、延べ人数2,078

     茨城県:実人数  4人、延べ人数   13

合計  実人数2,062人、延べ人数8,378

(2)   参加都道府県薬剤師会数

     44都道府県(被災3県を除く)

(3)   派遣種類別の人数

     薬剤師会の支援活動としての派遣(自県対応分を除く):実人数1,620人、延べ人数6,326

     都道府県医師会との連携に基づく派遣(JMATへの参加等):実人数157人、延べ人数679

     都道府県等、自治体からの支援要請に基づく派遣:実人数200人、延べ人数982

     その他による派遣:実人数85人、延べ人数391

この他に、日本病院薬剤師会にも77日現在で、321人の病院薬剤師から派遣協力申出があり、派遣先と活動開始の日程調整が済んだ者から順次、被災地の医療機関に向けて派遣された。

また、日本チェーンドラッグストア協会および日本保険薬局協会等の関係団体からも、薬剤師派遣や医薬品・衛生用品等の提供がなされた。

     派遣先での活動内容例

(1)   医薬品集積所等での医薬品の仕分け・管理、並びに救護所・避難所への払い出し業務

(2)   救護所・仮設診療所等における被災者に対する調剤および服薬説明

(3)   派遣された医療チームに同行して、処方支援・医薬品の識別・代替医薬品の選択、それに伴う服薬説明等を通じた安全・適正使用の確保

(4)   各避難所を巡回し、避難された被災者からの医薬品に関する相談・服薬説明に加えて、一般用医薬品(OTC薬)の適切な使用とその相談(OTC薬で対応が可能と考えられる被災者に対しては、救護所等での診察の前に薬剤師が症状等を聞き、適切なOTC薬を供給。これにより、医療チームは多くの患者への対応の診察が可能となった。)

(5)   避難所等における衛生管理並びに防疫対策への協力(夏場において大量発生が懸念されるハエや蚊などの害虫対策として、薬剤師会が班編成を組み、被害の大きい地区の避難所に殺虫剤及び簡易噴霧器を配布するとともに、仮設トイレやゴミ置場などで殺虫剤の散布方法の説明を行った。また、梅雨シーズン及び夏期における、ノロウイルス、サルモネラ菌、病原性大腸菌等への感染も懸念されることから、薬剤師会では予防対策として「手洗い」「塩素系消毒剤での靴裏の消毒」等を呼びかけた。)

(6)   避難所生活の長期化に伴う、栄養バランスの悪化に対する総合ビタミン剤の供給

     お薬手帳等の服薬情報の活用

今回、救護所で活動している薬剤師は、避難所等へ避難されている糖尿病や高血圧等の慢性疾患の被災者から被災前に使用していた薬を聞き取り、「お薬手帳」に薬剤名等を記載する取り組みを行った。これにより、医療チームの医師は効率的な診察を行うことができ、多くの患者の診察が可能となった。

また、医療チームの一員として派遣された薬剤師が、救護所で処方された薬剤名等を「お薬手帳」に記載して配付することで、被災者の方々は処方薬を自己管理し、間違うことなく服用でき、さらにその後別の避難先で診療を受けた場合にも、継続した薬物療法を受けることが可能となった。

このように、今回の震災では「お薬手帳」の活用が医薬品の安全な使用に効果を挙げた。

日本薬剤師会では、これまで約1万冊の「お薬手帳」を被災地の救護所などへ提供した。また、都道府県薬剤師会からは約5万冊の「お薬手帳」が提供されており、派遣薬剤師が被災地へ「お薬手帳」を持参し、配布した。その他、日本病院薬剤師からも約7,000冊の「お薬手帳」が提供された。

 なお、発表では、「今後の予定」、「被災地における機能的・総合的な医療・介護の復興の必要性」も示されていますが、「今回の震災で、医療・介護における薬局・薬剤師の必要性が再認識されたものと認識している。したがって、そのスキームには、必ず薬局を組み込むことが不可欠である」と強調しています。

 また、政府に対する「東日本大震災復興支援に関する要望書」や被災者健康支援連絡協議会における「地域薬剤師会等が仮設薬局を開設する場合の支援」などについての要望についても言及しています。

 

http://www.nichiyaku.or.jp/

2011/07/19(火) 13:15