matsuda's blog

医療事故調査制度の創設に向けた基本的提言 日本医師会がまとめる

日本医師会では、国の政策や様々な問題・事象に対する見解や、新たな行動指針・活動計画・成果報告などを紹介するため、役員が報道各社に対して定例記者会見を行っており、ホームページの「定例記者会見コーナー」で、会見の内容や提出した資料を紹介していますが、713日の記者会見では、医療事故調査に関する検討委員会(プロジェクト)答申「医療事故調査制度の創設に向けた基本的提言」について発表しました。

 同委員会は、平成221224日に、会長より諮問された「医療事故調査制度の創設に向けた基本的提言」について、平成23415日までに5回の委員会を開催し、鋭意検討を重ね、同時並行的にメール等による全委員からの意見収集と意見交換を行った結果、意見の集約をみたため答申したものです。

 医療事故対応に関する議論は、医師法第21条改正問題も含めて、これまで医療界は言ううに及ばず、患者団体、法曹界、政官界、マスコミを包含した社会的な課題として、熱心に行われ、「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱」が協議されるに至りましたが、多くの議論とエネルギーが投入されたにもかかわらず、最終的な合意という点では不調に終わっています。

 そのため、「ここで、これまでの議論をそのまま終焉させてしまうことは、医療界のみならず、社会にとって不幸なことである。日本医師会がわが国の医療において担う役割を考えるならば、これらの議論を再開し、さらに発展させていくべきであることは自明といえる」としています。

 

 提言は、基本的考え方として、

 

 医療事故調査制度の目的は、医療事故の真の原因究明と再発防止である。

 医療は如何に確実性を求めても不確実性が残り、一定の割合で生じる不幸な結果は避けることができない。しかし、医療の安全と医療の質の向上に努め国民が安心して医療を受けられる社会をつくるのは医療界の責務である。また日本医師会は、プロフェッショナル・オートノミーによる自浄作用の観点から、医療安全の制度を再点検することが大切である。

 わが国の医療事故調査制度の柱を、「院内医療事故調査」と、医療界、医学界が一体となって組織、運営する「第三者機関」とし、これによって、医療界は自ら定める職業規範の責務を果たすという点で、自律的かつ意欲的に医療の質向上に努め、国民が安心と信頼を持って医療を受けられる体制を築く。日本医師会には、最大の医療団体として、本制度の構築を主導・調整する責務がある。

 

としています。

 そして、◇全ての医療機関に院内医療事故調査委員会を設置する、◇医療界、医学界が一体的に組織・運営する「第三者的機関」による医療事故調査を行う、◇医師法21条の改正を行う、◇ADRの活用を推進する、◇患者救済制度を創設する、について提言しています。

 

http://www.med.or.jp/

 

2011/07/15(金) 16:41