大規模災害二次被災者の対応ポイント 塩野義製薬がハンドブックを制作配布
塩野義製薬は、「被災者の悲嘆へのケア」「全国からの救援者の蓄積的ストレスへのケア」など医療現場の対応ポイントをまとめたハンドブックを制作しました。これは、東日本大震災の被災者や救援者などの二次被災者の精神的なケアについて、阪神・淡路大震災などの大災害の臨床経験が、被災地をはじめ全国の医療現場の支援につながることを願い、「阪神・淡路大震災等の大災害に学ぶ心のケア~臨床現場からのアドバイス」を制作したもので、7月4日から全国の医療機関を対象に配布を行います。
今回の震災では、家族・友人などの人命、家屋、財産、仕事をはじめ、かけがえのないものを奪われた被災者のさまざまな喪失が重なっているため、うつ病などの精神疾患につながる悲嘆反応を示されるハイリスクな被災者が多くなる可能性があります。
また、被災地以外から復興支援で入られている自衛官、消防職員、警察官、医療救護班を含むボランティアなど多くの救援者が、隠れた被災者「二次被災者」として精神的なストレスを抱える可能性も指摘されています。役割を終えて地元に戻ってから体調を崩すこともあり、全国各地においても震災による精神的なケアが必要となる可能性があります。
当ハンドブックは、阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、JR福知山線脱線事故などで被災者の心のケアに携わってこられ、東日本大震災の被災地においても活動されている心療内科医の神戸赤十字病院心療内科部長・村上典子医師の豊富な臨床経験をもとに制作しました。被災地をはじめ全国各地で、精神科医だけではなく、最初に通院する可能性が高い内科など、かかりつけ医による診察にも役立つよう、ポイントを絞った内容にしています。
塩野義製薬は、阪神・淡路大震災を経験した大阪に本社を置く企業として、また精神科領域で医療の一翼を担う企業として、東日本大震災の被災者や救援者などの二次被災者、被災地を見守る人々の「心のケア」に貢献していく所存です。
ハンドブックの概要は次の通りです。
タイトル:すべてのお医者様に向けた「阪神・淡路大震災等の大災害に学ぶ心のケア」―臨床現場からのアドバイス―
監修:神戸赤十字病院心療内科部長村上典子氏
内容項目:①大災害がもたらした目に見えない心の傷
②災害時に生じる心理的な負担
③心のケアの行い方
・ 最初の接し方で気をつけたいポイント
・ 具体的な接し方のポイント
④災害において最も難しいグリーフケア
・ 喪失体験による悲嘆反応
・ 悲嘆反応による身体症状の見分け方(遺族の場合)
・ 悲嘆反応のプロセス
・ グリーフケアとは
・ 遺族を傷つける可能性のある言葉集
⑤高齢者への心のケア
⑥子どもへの心のケア
⑦二次被災者への心のケア
⑧間接被災者への心のケア
発行部数:20,000部
配布対象:国内各地の病院、診療所などの医療従事者(無料配布)