ネット購入者の落とし穴・甘い認識 4社がED治療薬対象に合同調査
国内でED(勃起不全)治療薬を製造・販売している4社(ファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリー)は、2011年2月25日から3月2日にかけて、全国のED治療薬使用者を対象に偽造ED治療薬に関するインターネット調査を実施しました。6月29日に4社のホームページで発表されています。
ED治療薬は、医療機関で受診することへの抵抗感からインターネットで購入されるケースが多く、偽造医薬品購入による経済被害だけでなく、健康被害のリスクが高まっています。実際に今年4月に、奈良県薬務課から、ED治療薬の偽造品を服用した男性が意識障害を起こし、病院に搬送されるという事例や、偽造ED治療薬服用との因果関係は明らかでないものの、呼吸困難等で病院に搬送され死亡に至った男性の衣服から偽造ED治療薬が見つかる事例が報告されました。これらの報告を受けた厚生労働省および奈良県から、「偽造医薬品による健康被害に対する注意喚起」のお知らせが出されました。
今回4社は、健康被害のリスクを抱えるネット購入者の、偽造ED治療薬に対する意識と実態を把握することを目的に、医療機関とネットそれぞれのルートから購入しているED治療薬使用者を比較調査しました。調査の結果、多くのネット購入者はED治療薬の偽造品がネット上に出回っていることを認識しているにも関わらず、自身の購入したED治療薬に対しては、本物であると過信して使用していることが分かりました。また、偽造品のリスクに対しての認識も低く、副作用が出ても放置するなど、健康被害の原因とも言えるような利用実態が明らかになっています。
調査は、対象がED治療薬の使用経験がある30歳以上の男性で、2010年7月以降にED治療薬を病院・クリニックまたはネットで購入した人。サンプル数は564人、サンプル構成はネット購入者(病院・クリニックでの購入経験なし/ネットでの購入経験あり)276人、医療機関受診者(病院・クリニックでの購入経験あり/ネットでの購入経験なし)288人となっています。
調査結果の概要は下記の通りです。
● ED治療薬の偽造品がネット上に出回っていることを使用者全体の9割以上が認識
● ネット購入者の75%が偽造品と本物を自分では区別できないと思うと回答
● 自分がネットから購入したED治療薬は本物だと思うと約9割が判断
● ネット購入者の2人に1人が偽造品による健康被害のリスクを認識せずに薬を服用
● 4割がネットから購入したED治療薬で副作用を経験、その間に9割が副作用を放置
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