武田薬品がピオグリタゾン塩酸塩製剤で文書 患者及び医療関係者向けに
武田薬品工業は、6月24日、ピオグリタゾン塩酸塩製剤(アクトス錠、アクトスOD錠、メタクト配合錠、ソニアス配合錠)について、注意事項に関する患者向け文書、使用上の注意改訂についての医療関係者向け文書を発表、ホームページに掲載しました。
公表された医療関係者向け文書は次の通りです。
このたび、海外で実施中の糖尿病患者を対象とした疫学研究(米国で実施中のKPNC研究)の中間解析において、ピオグリタゾン投与群と非投与群を比較すると、主要解析である全体の解析では膀胱癌の発生リスクの増加はみられないものの、治療期間による層別解析ではピオグリタゾンの長期間に投与によりわずかなリスクの増加がみられました。また、他の疫学研究(フランスで実施されたCNAMTS研究)においても、ピオグリタゾンの投与によるリスクの増加と長期間の投与によるリスクの増加がみられたと報告されています。
これらの研究結果を踏まえて、フランス、ドイツでは本剤の処方制限がなされ、米国では添付文書の改訂を指示されています。
日本におきましても、これらの研究結果を踏まえ、厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知に基づき、「使用上の注意」を改訂しました。
本剤の使用にあたっては、下記の点に十分ご注意ください。
1. 膀胱癌治療中の患者さんには本剤の投与を避け、他の糖尿病治療をご考慮ください。
2. 膀胱癌の既往を有する患者さんには、本剤の有効性及び危険性を十分に勘案した上で、本剤の投与の適切性をご判断ください。
3. 本剤を投与する患者さんには、膀胱癌発症のリスクについて十分に説明してください。
4. 本剤投与中に血尿、頻尿、排尿痛等の症状を認めた場合は、直ちに受診するよう患者さんに説明してください。
5. 本剤投与中には、定期的に尿検査等を実施し、異常が認められた場合は、適切な処置を行ってください。また、投与終了後も十分に経過を観察してください。
また、患者向けには次の文書を出しています。
アクトス、メタクト、ソニアスに含まれる成分に関する注意事項について
患者様に服用いただいております糖尿病治療薬「アクトス」、「メタクト」あるいは「ソニアス」に含まれる成分(ピオグリタゾン塩酸塩)につきまして、膀胱癌発生リスクをわずかに高める可能性があることについて評価が進められていますが、このたび、厚生労働省より注意事項の追加について指示がありました。
この指示にしたがい、ピオグリタゾンの使用に際して以下のような注意を医療関係者にお願いすることになりました。
・ 膀胱癌治療中の患者様には投与を避けること。また、特に、過去に膀胱癌があった患者様には投与の可否を慎重に判断すること。
・ 患者様又はその家族の方に膀胱癌発症のリスクを十分に説明し、投与中は、定期的に尿検査等を実施すること。
・ 投与中に血尿、頻尿、排尿痛等の症状が認められた場合は、直ちに受診するよう患者様を指導すること。
ご不安、ご不明な点については、主治医の先生とご相談いただき、くれぐれもご自身の判断で薬の服用を中止しないようお願い申し上げます。