奈良県が模造医薬品の健康被害で注意喚起
奈良県薬務課は、4月26日、「模造医薬品による健康被害に対する注意喚起」について発表しました。模造医薬品を服用したことによる健康被害の可能性が否定できない事例があり、県の対応を発表するとともに、注意を喚起しているものです。
発表内容は次の通りです。
1.背景
平成23年1月中旬に奈良県立医科大学附属病院から、海外から個人輸入された模造医薬品による健康被害を防ぐための手段がないかどうか相談された。
医師への聞き取りを行ったところ、平成22年6月頃に40歳代の男性が模造医薬品であるシアリス錠50mgを服用し、数時間でケイレン、意識低下の症状を認め、同センターに搬送された。附属病院で診断の結果、脳の静脈に血栓があること(矢状静脈洞血栓症)が確認され入院治療。その後回復し退院された。
なお、これらの症状と模造医薬品を飲んだこととの因果関係は不明。
また、当該男性には既往症や他の薬品の服薬歴はなかったと聞いている。
※ 相談にいたった端緒
1月中旬に同センターに呼吸苦により搬送され、間質性肺炎で死亡された患者宅から、本事例と同じ模造医薬品であるシアリス錠50mgが届け出された。
・搬送された際には、既に話が出来ない状態であったため、模造医薬品を服用したかどうかは不明だが、ポケットに模造医薬品が見つかった。また、遺品として患者宅にあった模造医薬品は以下のとおり。
シアリス錠50mg1錠、シアリス錠100mg1錠、レビトラ錠20mg2錠、ジフルカン100mg1錠
なお、当該男性には既往症や他の薬品の服薬歴は不明。
2.県の対応
(1) シアリス錠の正規品の製造販売を行っている日本イーライリリー(株)及び国内発売元である日本新薬(株)へ情報提供するとともに、模造医薬品に関する両者が把握している情報の提供依頼、並びに当該品にかかる分析法の相談などを行った。
(2) 厚生労働省に対して情報提供を行い、厚生労働省は3月31日、注意喚起をHPに掲載した。
(3) 模造医薬品による健康被害を防ぐためのチラシを作成し、4月20日から配布を行った。
参考事項
・シアリス錠50mgは、正規の医薬品として販売されていない製品である。
成分名:タダラフィル
効能:勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)
<注意喚起していただきたい事項>
・個人輸入される医薬品等の品質、有効性及び安全性(以下、品質等)については、我が国の薬事法に基づく確認がなされていません。
国によっては、医薬品等の品質等について、我が国と同じレベルでの確認が行われていないことがあります。
・品質等の確認が行われていない医薬品等は、期待する効果が得られなかったり、人体に有害な物質が含まれている場合があります。
http://www3.pref.nara.jp/hodo/