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保険医療機関等の明細書発行実施状況調査報告 中医協総会

中央社会保険医療協議会の第189回総会が420日に開かれ、平成22年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査として、「明細書発行原則義務化後の実施状況調査」の結果概要が発表されました。

調査は、保険医療機関、保険薬局及び訪問看護ステーションにおける明細書の発行状況の把握、明細書発行の事務・費用負担の実態の把握、患者への影響等の把握、患者の明細書の受領状況及び明細書発行に関する意識等の把握を目的として、「施設調査(5種類)」と「患者調査(6種類)」の2つの調査を実施しました。

「施設調査」は、全国の対象施設・事業所の中から無作為に抽出したもので、①病院調査1,500施設、②一般診療所調査1,700施設、③歯科診療所調査:1,000施設、④保険薬局調査:800施設、⑤訪問看護ステーション調査:500事業所を対象としました。

また、「患者調査」は①~④の対象施設の患者で、⑥病院(入院)患者調査:1施設につき最大4名、⑦病院(外来)患者調査:1施設につき最大4名、⑧一般診療所患者調査:1施設につき最大3名、⑨歯科診療所患者調査:1施設につき最大3名、⑩保険薬局患者調査:1施設につき最大3名、⑪訪問看護ステーション患者調査:1事業所に着き最大5名です。

調査実施期間は平成22128~平成23128日で、調査項目は、「施設調査」では施設の基本情報、明細書発行の認識と対応の有無等、明細書発行施設における明細書発行状況等、明細書発行施設における事務・設備整備等の負担状況等、明細書発行による患者への影響と効果、全ての患者に明細書を無料発行していない理由等、などで、「患者調査」では明細書発行原則義務化に関する認知状況等、調査日における明細書の受け取り状況等、明細書発行に関する今後の希望等、などです。

結果概要は、回収の状況が、「施設調査」で、①病院調査:652施設(回収率43.5%)、②一般診療所調査:708施設(回収率41.6%)、③歯科診療所調査:587施設(回収率58.7%)、④保険薬局調査:531施設(回収率66.4%)、⑤訪問看護ステーション調査:257事業所(回収率51.4%)。「患者調査」で、⑥病院(入院)患者調査:790名、⑦病院(外来)患者調査:1,227名、⑧一般診療所患者調査:1,025名、⑨歯科診療所患者調査:808名、⑩保険薬局患者調査:829名、⑪訪問看護ステーション患者調査:424名です。

 

保険薬局(531施設)についてみますと、開設者は法人84.6%、個人13.9%、無回答1.5%で、法人薬局(449施設)の内訳は株式会社49.4%、有限会社46.8%、合資会社0.2%、合名会社0.0%、その他0.9%、無回答2.7%となっています。

調剤基本料(基準調剤加算)は、1041.6%3017.7%、無算定39.5%、無回答1.1%です。

受付処方せん枚数は、299枚未満13.7%300~99930.5%1000~199934.1%2000~299912.8%3000~39994.9%4000枚以上2.8%、無回答1.1%で、平均値1328.1、標準偏差1113.9、中央値1083となっています。

職員数(常勤換算、503施設)は、薬剤師が平均値2.6、標準偏差2.3、中央値2.0、事務職員が2.02.12.0、その他職員が0.41.20.0、合計で平均値5.0、標準偏差4.1、中央値4.0です。

 レセプトコンピュータ等による医事会計システムの導入は96.2%、レセプト請求方法はオンライン請求91.9%、電子媒体による提出4.7%、紙レセプトによる提出(手書き)2.4%で、○明細書発行原則義務化の認知状況は、よく知っている88.9%、だいたい知っている10.0%、○明細書発行の状況は、全ての患者に発行68.4%、一部の患者のみ発行29.4%、◇明細書発行にかかる費用徴収は、徴収していない100.0%、○明細書発行のタイミングは、精算の都度発行96.0%、○明細書の記載内容は、調剤年月日97.3%、調剤報酬点数の個別項目名94.2%、個別点数や価格90.4%、調剤医薬品の名称・投与回数・日数93.1%、○明細書の様式は、厚生労働省から示された標準様式72.1%、独自に作成した様式8.3%、レセプトと同じ様式12.1%。○明細書発行による、窓口での患者1人にかかる対応時間の変化は、以前より長くなった34.5%、以前と変わらない45.1%、以前より短くなった11.9%、などとなっています。

 また、明細書無料発行による効果等に関しては、治療(調剤・訪問看護)の内容に関する患者の理解が深まり、治療に対して積極的になったか、治療(調剤・訪問看護)が透明化されたことにより、患者から信頼されるようになったか、患者の医療費に関する理解が深まったか、明細書が有益であると患者から評価されたか、などについても調査しています。

 

一方、患者調査(829)では、○明細書発行原則義務化に関する認知状況は、知っていた78.9%、知らなかった21.1%、○調査日における明細書の受け取り状況は、受け取った66.0%、自らの希望で受け取らなかった31.6%、○明細書受取に際しての費用支払いの有無は、支払った2.2%、支払っていない78.2%、わからない15.5%、○明細書を受け取るための会計での待ち時間の変化は、長くなった7.3%、短くなった0.9%、変わらない72.9%、○明細書の内容の確認状況は、きちんと確認した16.1%、おおまかに確認した43.0%、ほとんど確認しなかった22.3%、まったく確認しなかった18.5%、○明細書の必要性については、必要だと思う14.8%、どちらかというと必要だと思う20.7%、どちらかというと必要ない31.3%、必要ない32.9%、○明細書の持ち帰り状況は、自宅に持ち帰った94.0%、自宅まで持ち帰らなかった4.9%、○明細書の内容のわかりやすさは、わかりやすかった23.6%、どちらかというとわかりやすかった28.2%、どちらかというとわかりにくかった28.9%、わかりにくかった17.6%、○明細書受取の満足度は、大変満足している8.2%、まあまあ満足している56.5%、少し不満である17.2%、まったく不満である14.2%、などとなっています。

 

調査は膨大なもので、詳細は下記で確認できます。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000018toj-att/2r98520000018tzr.pdf

 

2011/04/22(金) 11:05