東北地方太平洋沖地震の影響は製薬企業にも
平成23年3月11日に発生いたしました東北地方太平洋沖地震の影響が各方面に出ており、被害の大きさが徐々に明らかになっていますが、製薬企業の中には東北地方などに生産拠点を有している企業もあります。各社が14日以降、ホームページで明らかにしています。被害を受けた各社は一部操業を停止したり、点検を行っていますが、被害が軽微な企業は近く操業を再開する見込みです。しかし、深刻な状況の企業もあります。
以下に主な企業の生産拠点の状況を紹介します(50音順)。情報が続報の場合は最新のものです。最新の情報は各社ホームページを参照してください。
◇あすか製薬株式会社:福島県いわき市にある「いわき工場」の生産設備等(製造設備及び立体倉庫)の一部に被害が発生しました。同工場で製造している製品につきましては現在生産の見通しが得られない状況です。特に、「チラーヂンS錠」、「チラーヂンS散」、「チラーヂンS末」(成分:レボチロキシンナトリウム)につきましては現時点で通常の供給が困難な状況にありますが、1.製造委託会社によるレボチロキシンナトリウムの生産、2.海外製品(レボチロキシンナトリウム)の緊急輸入、3.いわき工場の操業再開、等のあらゆる方策により、供給再開が可能な見込みです。
◇アステラス製薬株式会社:アステラス東海株式会社西根工場(岩手県八幡平市西根町)、アステラスファーマケミカルズ株式会社高萩工場(茨城県高萩市赤浜)が共に操業を停止しています。西根工場については生産の早期再開に向けた取り組みを開始しています。高萩工場については、従業員の安全確保を最優先しつつ、早期復旧に向け、生産設備の状況を確認しています。
◇塩野義製薬株式会社:抗生物質並びにがん疼痛治療薬を製造しております金ケ崎工場(岩手県胆沢郡金ケ崎町)において、一部の建物・設備に被害が生じ、さらに停電と余震の危険性から、全面的に操業を停止しております。普及に向けて全力で取り組んでおりますが、現時点におきましても操業再開時期は未定です。
◇生化学工業株式会社:医薬品の製剤化を行う高萩工場(茨城県高萩市)につきましては、製剤機器および製品倉庫の一部に損傷があり、現在、安全確認を行いながら被害状況を精査しています。また、グループ会社でコンドロイチン硫酸の原料加工を行う三陸加工株式会社は津波の影響により大きな被害を受けました。
◇日医工株式会社:山形県と埼玉県にある生産工場につきましては一部施設に損傷がありましたが、現在復旧に向けて確認並びに回復作業を進めています。復旧には1~2週間かかる見込みですが、製品の安定供給には支障はありません。
◇扶桑薬品工業株式会社:茨城工場(茨城県北茨城市)で立体自動倉庫の一部損傷の被災・損傷があり、現在も余震・停電が続き被害の状況の確認ができない状況ですが、茨城工場のみで製造しています「サブラッド血液ろ過用補充液BSG1010mL」、同じく「BSG2020mL」は立体倉庫が稼動できるまで市中在庫のみとなり、逼迫しています。
◇持田製薬株式会社:子会社である持田製薬工場株式会社の本社工場(栃木県大田原市)が製剤棟設備、製造機械等に甚大な被害があることが判明しました。引き続き精査中ですが、現在のところ、当面の操業再開については目途が立っていない状況です。