厚生労働省が地震の被災に伴う保険診療関係の取扱いで事務連絡
厚生労働省は、15日、地方厚生局や都道府県に対して、「平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震の被災に伴う保険診療関係の取扱い」について事務連絡を発しました。また、これを受けて日本薬剤師会でも各都道府県薬剤師会に対して、16日、保険診療・保険調剤の取り扱いについて通知し、会員への周知を求めました。
厚生労働省の事務連絡は、「平成23年3月11日の平成23年東北地方太平洋沖地震及び同月12日の長野県北部の地震による被災に伴う保険診療関係等の取扱いについては、当面、下記の通り取り扱うこととしたいので、関係団体への周知を図るようお願いしたい。」として、1.保険医療機関等の建物が全半壊した場合の取扱い、2.保険調剤の取扱い、3.定数超過入院について、4.施設基準の取扱いについて、5.診療報酬の請求等の取扱いについて、6.訪問看護の取扱いについて、それぞれ扱いを示しています。
また、被災のため、被保険者証等を家に残してきたまま非難している等の理由により、保険医療機関等に提示できない場合、受診できる取扱いとしていることについて、11日付の事務連絡を示しています。
事務連絡の中で、ここでは「保険医療機関等の建物が全半壊した場合の取扱い」、「保険調剤の取扱い」について示しますが、詳細は日本薬剤師会のホームページで確認できます。
1.保険医療機関等の建物が全半壊した場合の取扱い
保険医療機関である医療機関又は保険薬局である薬局の建物が全半壊等し、これに代替する仮設の建物等において診療又は調剤等を行う場合、当該仮設医療機関等と全半壊等した保険医療機関等との間に、場所的近接性及び診療体制等から保険医療機関等としての継続性が認められる場合については、当該診療等を保険診療又は保険調剤として取り扱って差し支えないこと。
2.保険調剤の取扱い
(1)被災地の保険薬局において、次に掲げる処方せん(通常の処方せん様式によらない、医師の指示を記した文書等を含む)を受け付けた場合においては、それぞれに掲げる事項を確認した上で、保険調剤として取り扱って差し支えないこと。
①保険者番号、被保険者証・被保険者手帳の記号・番号の記載がない場合
被災により、被保険者証、健康手帳等を保険医療機関に提示できなかった場合であること。この場合、保険薬局において、加入の保険及び被用者保険の被保険者であっては事業所名、国民健康保険の被保険者及び後期高齢者医療制度の被保険者であっては住所を確認するとともに、調剤録に記載しておくこと。
②保険医療機関の記載がない場合
処方せんの交付を受けた場所を患者に確認すること。
なお、処方せんの交付を受けた場所が、救護所、避難所救護センターその他保険医療機関以外の場所であることが明らかな場合は、保険調剤として取り扱えないものであること。
(2)患者が処方せんを持参せずに調剤を求めてきた場合については、事後的に処方せんが発行されることを条件として、以下の要件のいずれにも該当する場合には、保険調剤として取り扱って差し支えない。
ア 交通の遮断、近隣の医療機関の診療状況等客観的にやむをえない理由により、医師の診療を受けることができないと認められること。
イ 主治医(主治医と連絡が取れない場合には他の医師)との電話やメモ等により医師からの処方内容が確認できること。
また、医療機関との連絡が取れないときには、服薬中の薬剤を滅失等した被災者であって、処方内容が安定した慢性疾患に係るものであることが、薬暦、お薬手帳、包装等により明らかな場合には、認めることとするが、事後的に医師に処方内容を確認するものとすること。
(3)災害救助法に基づく医療の一環として、救護所、避難所救護センター等で処方せんの交付を受けたと認められる場合には、当該調剤に係る報酬は救護所の設置主体である県市町に請求するものであること。
ただし、災害救助法が適用されている期間内において処方せんが交付され、調剤されたものであること。