yoshio's blog

寄り道Ⅴ・他の薬局に処方せんを持って行って!

2013年を迎えました。新春のお慶びを申し上げます。新年に当たり、最近非常に気になることがありますので、今回は、その点について触れたいと思います。

最近、大手ドラッグチェーンも調剤分野に進出してきています。派手に広告を展開している大手ドラッグチェーンが「処方せんをもらったら○○薬局へ」「薬剤師に相談してください」とか「薬剤師が対応しています」という宣伝をするようになってきました。これは、非常に嬉しいことではありますが、「処方せんを受け付けています」ということも大々的にアピールするようになって来ました。

そうしますと、われわれ小さな調剤薬局と、大手ドラッグの調剤部門を比べた場合、街の中にある普通の調剤薬局や門前薬局は患者さん一人一人に対して非常にゆとりがありません。とにかく、患者さんからは「早く薬をもらって帰りたい」「早く、早く」という気持ちが感じられます。

その点、スーパードラッグでは、患者さんは殆んど待合席にいません。処方せんを受付に渡した後は、店内をうろうろして楽しそうに時間を使っています。顔を見ましても、「じっと調剤室を睨んでいる」という雰囲気はありません。患者さんにはすごくゆとりがあります。

このことは、私が以前に強調したように、次の時代の薬局は、調剤薬局同士の競争もありますが、それ以外に大型のスーパードラッグとの格差をどうつけていくかということを考えて取り組まなければなりません。そうでなければ、今の薬局は、過ってドラッグストアにじわりじわり侵食され、OTCの売上が昔の1/41/3に減ってしまった街の薬局と同じように、気がつかない間に、調剤の方でも取り残されてしまいそうな気配を感じます。

OTCの時も、「値段で対抗すればよい」という考え方で取り組み、結果的に時代の流れから、一般消費者の志向で選ばれなくなってしまう、即ちスーパードラッグが選らばれてしまう、ということになってしまいます。処方せん調剤、大量にOTC薬を買う、ちょっと新しいものを見つける、とか、いろいろ見ながら検討したい、という場合には、スーパードラッグ便利という状況になってしまい、一般の薬局で買うのは、コンビニドラッグと言って、ちょっと間に合わせに買うという程度になってしまっています。

このことを考えますと、調剤薬局も同じ時代が来るように感じられます。特に処方せんの場合、今の門前薬局とか調剤専門薬局では、待っている患者さんは物凄く怖い顔をしています。ゆとりのない顔をしながら薬をもらっています。そのような患者さんは、これまで、処方せんをどこに持って行けば良いのか解らない。「前に行きなさい」「横に行きなさい」と言われ指定されていたので、その薬局に行っていましたが、それが「どこに行っても調剤してもらえる」と解り始めました。

しかし、「どこでも良いから」ということで薬局を選んでも、「薬がない」、「いろいろ言われる」という状況がありました。しかし、ジェネリックも推進されるようになって来ますと、薬が増える反面もありますが、「それほど揃えなくても良い」という面も出てきました。それまでスーパードラッグでは「薬が揃えられない」という状況があったのに、ジェネリックの拡大により、やりやすくなりました。

そのような時代の流れの変化により、これからは、そのスーパードラッグに対抗するというよりも、そこにできない調剤をいかに作り上げていくか、ということを考えていかなければなりません。★★

それでは、「どのような調剤をするのか」というと、患者さんが薬をもらってから在宅で飲み続けている間の管理です。病院では、患者さんを対象とした薬剤管理が月1回から月2回となり、条件も400床から病床制限なしに緩和されて来ました。それが前回の改定で病棟ごとに管理するようになってきましたので、患者さん一人一人の顔が見られる位置で薬剤管理が出来るようになりました。そのように入院患者は入院中には病院薬剤師が充分に管理していただけますが、退院して外来処方せんで薬をもらうと「ハイ!おだいじに!」という言葉を最後に抛って置いていいものなんでしょうか??薬局で薬をもらって家で薬を飲み続けている間に多く起こる問題点を服薬終了まで管理する、即ち、病院で、小さな窓口から薬を渡して「ハイ!おだいじに!」の時代が終わり、新しい分業時代には入院患者には病院薬剤師が関与し、充分に顔の見える位置で管理しているのに、外来処方せんの薬局では旧態依然の「ハイ!おだいじに!」でいいのでしょうか??

病院から外来、在宅まで全ての段階を各部門の薬剤師が薬剤管理する、このことは患者さんにとって分業の遅れた日本の医薬分業が、世界に類を見ない新しい時代の医薬分業のメリットになるのではないでしょうか。患者のことを中心に患者さんを抱きかかえた薬局での考え方の体制作りが必要になって来ていますね。

病院での管理も始まったばかりですので、まだ完璧と言うわけにはいきませんが、病院全体の管理から病棟管理と移り、個人の管理ということは今後充実されると思います。それと同じ様なことを、入院から引き継いでいくということはとても大切になってきます。退院時の患者さんの情報を病院薬剤師から受け取る時代もすぐに来るでしょう。

在宅薬剤管理に取り組んでいくことが地域薬局、コンビニ薬局の誇りとなるでしょう。

私自身が患者となって処方せんを持って薬局を回る経験をするようになってから初めて強く感じています。

次の時代はその点の競争になると思います。育星会の社員は、自身や家族が処方せんをもらう機会がありましたら、処方せんを育星会ではなく別の薬局に持って行き、他の店の雰囲気を勉強してみなければいけないと思います。育星会の社員は、患者さんの気持ちに沿って、処方せんを別の薬局に持って行き、時代の流れを感じることをお勧めします。

 

2013/01/10(木) 00:00