yoshio's blog

2010年12月

(株)育星会の誕生への道のり 第3章 脱皮

第3章           脱皮

 

二つ目の悩みは「親から独立したい」でしたが、七人の仲間の親たちは、戦後のドサクサに大変な苦労をしながら子育てをし、立派な街の薬局を作り上げてきた人達でしたから、「薬局」に対する愛着心には想像を絶するものがありました。良い環境で育てて薬剤師にした子供達がひ弱に感じられ、息子への権限の移譲などはまだまだ考えてはもらえませんでした。従って、その両親たちを《悲しませず・落胆させずに》如何に我々に権力の移行をしてもらえるかを私たちは真剣に語り合っていました。

そこで次の様な方法をやって見ようと意見が一致しました。

 そのことを、まず初めに最年長の佐久間先生が実行しました。

戦後の物不足の時代に作った薬局ですから、店舗と住居が同じ場所でした。従って夜中に何度もたたき起されても、文句一つ言わずニコニコと応対していた両親の顔が未だに目に浮んで来ます。

その両親にこう言いました。「これから僕たちが店に寝泊りするから、お父さんお母さんは近所に住んで毎日ゆっくりお店に出て来て下さい」と・・・・。

佐久間先生のご両親はとてもとてもお喜びになりご近所に引っ越され、お店に通われるようになりました。しかし、一年も経たないうちに両親たちは店に来る回数がだんだん少なくなり、二人で旅行に行くゆとりも出来るようになりました。「両親」の戦後がようやく終了し、親が喜びながら息子への権限の移譲がスムーズに行われました。

川久保、土井、須山、山田、目谷とみんな同じ二世の立場でしたので、同じ取り組みによって数年のうちに親たちからの移行が完了しました。

この時期と息子たちが嫁をもらった時期とが重なっていたため、息子たちがやる気を出したのは「いい嫁をもらったお陰だと」と親たちの自慢があちらこちらで聞かれました。

(株)育星会設立への心の準備が着々と進んでいました。

 

2010/12/10(金) 00:00