suwada's blog

消えていった薬たち① メルビン・グリコラン

ふと思い起こすと、9年ほど働いているだけですが、処方される薬も少しずつ変わってきています。

沢山の新薬が発売されたのとは逆に、諸般の事情によって(常套句でしょうか)、販売されなくなった薬というのもまたありました。

このままでは忘れ去ってしまいそうなので、こんな薬があったんだよと語れるように文章にして残しておきましょう。





第一回は 今まさに消えゆく薬である、メルビン®グリコラン®です。

成分はメトホルミン。

...あれ?メトグルコ®があるよね?と思った人は大正解です。


(以降、®は省略します)
以前、日本でメトホルミン錠剤として販売されていたのはメルビン、グリコラン、その他ジェネリックたちです。

それらは、用量としてメトホルミンを1日500mg~750mg食後に服用することとされ、
高齢者への投与は禁忌でした。
乳酸アシドーシスという副作用のためだったと覚えています。

一方、海外ではメトホルミンを大量に投与しても副作用頻度は上昇せず、治療効果が高い薬だということがわかってきました。
1日に3000mg服用しても良いとされていた国もあるようです。

これを日本にも導入したい、けれど、古い薬でほぼ最低薬価であるメルビンで新規の治験は難しかったのだろうと推測します。

そこで、メトグルコ錠という名前で『新たに』発売されました。
成分も含量も一緒ですけど、保険上は違う薬だというわけです。
用量は最大で2250mgまで増え、高齢者への禁忌も外れました(さすがに、慎重に投与することにはなっています。)

そして古い方のメトホルミン錠剤たちは次々に姿を消して行きます。メルビンは販売会社が同じなので早々に販売中止、グリコランやそのジェネリックたちはこの3月で保険治療に使えなくなります。


メトグルコの一般名 メトホルミン錠○○mg:MT←このMTはメトグルコのことを指します。
一方、グリコランの一般名は メトホルミン錠○○mg:GL←グリコランの意味のGLです。

これから医療業界に入ってくる人たちは、MTってなんだろう?と疑問に思うことになるんでしょうね。


さようなら、ありがとうメルビン、グリコラン...といった感じで、良い後継が出来てなくなる薬もありますが、残念な消え方をする薬もあります。それはまた次回にでも。


あと、アメリカで行われているメトホルミンによる健康寿命延伸の研究も気になるところですね。
結果が出るのはまだまだ先ですが、アンチエイジング薬としてのメトホルミンもいつか出てくるのかもしれません。
2017/02/07(火) 22:38