カイセイ新聞

体と水分

真夏の暑い日には、冷えた麦茶などが涼感を運んでくれますね。
しかし、一気にガブガブと飲んでしまったり、清涼飲料水などの糖分の多いものを中心に水分補給していると、体調を崩してしまったり、夏バテのきっかけになってしまうこともあります。
今回は、体と水分、水分補給についてお話しします。

*体内の水の働き

水は、体内で次のような重要な働きを担っています。

  • 体内の老廃物を尿または糞便として体外に排泄するのを助ける
  • 栄養素、酸素、ホルモンなどを体中に運搬する
  • 汗をかくなどして体温を調節する
  • 代謝活動によって発生した余分な熱を、皮膚や呼気から蒸気の形で排出する

何らかの原因で、体内の水分量に過不足が生じた場合、ヒトの体は尿の量で体内の水分バランスを調整します。例えば、体内の水分量が不足した時は、尿を濃縮して水の排出量を減らし、水分量が過剰な時は過剰な分だけ尿の排出量を増やします。
水分が不足して調整する状態よりも、過剰な水分を排出して調整する方が、ヒトの体への負担が少ないと言われています。とりすぎには注意は必要ですが、できるだけ不足しないように、こまめな水分補給が大切なのです。
なお、冷たい飲み物は胃腸の働きを低下させてしまうため、腸で吸収されやすい5~15℃の温度で補給するとよいでしょう。


*体の水分量と脱水症状

ヒトの体の約50~70%は水分が占めています。その内、体重の2%が失われただけで、のどの渇きなどの脱水症状が始まります。

~体重に占める失われた水分の割合と、それらが引き起こす主な脱水症状

  • 2%失われる...のどの渇き
  • 3%失われる...のどの強い渇き、食欲不振、ぼんやりするなど
  • 4%失われる...皮膚の紅潮、体温上昇、尿量の減少と濃縮など
  • 5%失われる...頭痛、熱にうだる感じなど
  • 8~10%失われる...ふらつきなど
  • 10%以上失われる...失神、腎機能不全など、極めて生命が危険な状態

*のどが渇く前にこまめな水分補給を

実は、水分を吸収するのは胃ではなく、腸です。補給した水はいったん胃にためられて、少しずつ十二指腸、小腸、大腸へと送られ、吸収されます。補給した水分が多すぎると、胃の中に大量にたまり負担がかかります。コップ1杯くらいの水分を、1日に6~8回程に分けて飲むようにすると、1日に必要な水分を無理なく補給することができます。
のどの渇きを覚えた時には、すでに体内の水分が不足しているので、その前に補給するようにしましょう。
ちなみに、ビールなどのアルコールは利尿作用、すなわち尿を増やし、体内の水分を排泄してしまうので、水分補給にはなりません。