子宮内膜症
10月は乳がん月間です。乳がんの早期発見を啓発するピンクリボン運動キャンペーンが全国で行われます。しかし、女性の特有の病気は乳がんだけなく、子宮筋腫、月経困難症、子宮頸がん、子宮体がんなど様々です。その中でも今回は「子宮内膜症について」わかりやすく解説します。
*子宮内膜症とは?
子宮内膜とは子宮の内側を覆う粘膜のことです。受精卵が着床し、赤ちゃんが育つ〝ベッド″になるため、妊娠に備えて周期的に内膜が増殖し、妊娠しなければ剥がれ落ちます。剥離した内膜は、月経の出血として体外に排出されます。そして、子宮内膜症とは、本来子宮の内側にしかできないその子宮内膜が子宮以外の所にでき、そこで月経の度に増殖と剥離を繰り返します。この場合、剥離した内膜や血液の出口がないため血液の固まりとなったり、周囲の臓器へ癒着したりすることで様々な障害を引き起こす事になります。この疾患の代表的な自覚症状は、月経痛や月経時以外の下腹部痛・腰痛などです。
*子宮内膜症はへそにもできるのか!?
子宮内膜症ができやすい場所は、骨盤に守られている下腹部の内部の卵巣・腹膜・ダグラス窩(子宮と直腸の間に存在:性交痛や排便痛に関連する)で、大腸や膀胱にもできる事があります。月経血が逆流してお腹の中に迷い込み、そこで根付いてしまい、稀にへそや肺にも発生する説がありますが、はっきりした原因は分かっていません。 また、出来て間もない子宮内膜症の細胞は、検査や手術で見つけることが困難だと言われているのが現状です。
*子宮内膜症の痛みの原因
子宮以外で月経周期に合わせて発生した子宮内膜がその場所で出血を起こします。本来の月経の様に剥離した内膜細胞を排出する場所がないため炎症を起こし、ひどくなると出血部分を体が傷として認識し、治そうとして病変部分に膜をはろうとし、これが癒着を起こす原因になります。そうして、月経以外の時期、子宮以外の場所で痛みが起きるようになります。特に、癒着時の痛みは激しく、トイレも這って行く人がいるくらいです。このような痛みがあったら我慢せず診察を受けましょう。
*「痛みノート」をつけよう
日々の痛みの強さを数値化し記録する事で、記憶だけではわからなかった「痛み」の変化や度合いを確認する事ができます。受診の際に「痛みノート」を持参する事で医師にご自身の痛みを相談しやすくなります。
**最後に**
子宮内膜症は基本的に良性の疾患であり、こわい病気ではありませんが、診断が難しく治療法も様々です。自分で最新の知識を集め、どのように子宮内膜症と付き合っていくかを考える事が大切です。