カイセイ新聞

水虫

本格的に暑い夏が始まりました。「水虫」に悩まされている方にとって、これからが辛いシーズンです。今回は「水虫」の知られざる謎に迫ります。


*水虫は虫なのか

水虫の原因は虫ではなく、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種で、皮膚の一番外側の角質層に棲みつき、ここでケラチンという蛋白質を栄養源として繁殖します。この白癬菌は暖かく、湿った環境を非常に好み、梅雨のシーズンから夏にかけて最も活動が盛んになります。幸いな事に口や膣など体内には棲みつかないのが救いです。また、白癬菌自体の感染力はさほど強力ではなく、空気感染や直接接触による感染はほとんどないと考えられています。水虫の感染患者が落とした皮膚の垢などが別の人の皮膚に付着する事で感染します。


*なぜ水虫は痒いのか

白癬菌が活発に繁殖しているから痒みを感じるのでありません。人間の身体には、ウイルスや細菌などの異物が進入してきた時、それらの外部からの菌を追い出そうとする働きが備わっています。この「免疫」によって水虫菌を追い出そうとする活動が、「むずむず」や「痒み」という反応として現れるのです。


*犬や猫は水虫になるか

水虫は人間だけがなるのでなく、犬や猫もなります。ただし犬や猫の場合、足の裏の水虫という訳ではなく皮膚の水虫(タムシ)です。抱いたり、撫でたりして急に腕が痒くなったら、水虫の疑いを持った方が良いかも知れません。動物からの感染の水虫は人間の水虫とは違い、人馴れしていませんので症状が悪化する事もありますので、その際は念のため、皮膚科の医師に診てもらう事をおすすめします。


*水虫を撃退するために

皮膚はどんどん細胞分裂しており、次から次へと古い皮膚を垢として排出しています。表皮が完全に入れ換わる期間(ターンオーバ)は、約1カ月と言われています。
外用薬(塗り薬)の効き目とは、水虫を完全に撃退する事ではなく、増殖を押さえる事だと考えた方が良いでしょう。日時が経てばターンオーバで弱った水虫と共に古い皮膚は外へ押し出されます。そのため症状が治まった後も「最低1カ月」という治療の目安もなりたつわけです。
また、薬を塗る際のコツは「規定回数を守る」「広範囲に塗る」の2点に限ります。一見、健康そうに見える部分でも水虫が潜伏していて、これから活動を開始する事もあるかもしれません。どこまで広く塗るか疑問の時は、足全体に大胆に塗るのも方法のひとつです。

**最後に**

水虫の薬は、軟膏・クリーム・液状タイプ・スプレータイプとありますので、医師、薬剤師に相談して症状に合わせて使用しましょう。